医者に頼らない生き方17胃が痛い

 今回は胃の話です。
ゲゲゲの女房』で登場する水木しげるさんのお父上のあだ名は「イトツ」。なんでもよく食べ、胃の悩みなどさらさらなかった人のようです。うらやましい。わたしは長年胃で悩んできましたが、ピロリ菌を除菌してから、ほとんど痛みはなくなりました。
 ピロリ菌の検査は医者に行かなければなりませんが、検査を受けるためには行くしかありません。医者に頼らないといいながら、これはいたしかたがない。
 さて、今回流した曲はスティング。サムワン・ウオッチ・オーバー・ミー、オール・フォー・ワン、シェイプ・オブ・マイ・ハートの3曲です。
 それでは、お楽しみください。

医者に頼らない生き方17
 胃が痛い
1胃が痛くなったことはありません
 お腹が痛くなったという経験は、誰でもあると思います。
 わたしの場合、以前持病の話をしたときに十二指腸潰瘍があったことをお話ししました。
 ご存じの方もいると思いますが、十二指腸潰瘍はお腹がすいてくると痛くなります。我慢できない痛みではないのですが、しょっちゅうお腹が痛いというのは、不快で本当に嫌なものです。
 この痛みがなくなったら、すっきりするだろうなといつも思っていました。
 わたしが十二指腸潰瘍に悩まされていたのは、健康雑誌の編集長をしたころです。編集という仕事は、生活が不規則です。夜中まで仕事をするのは当たり前。食事時間もまったく決まっていません。それに、お酒を飲む機会も多い。
 なんといってもストレスが強い。常に何かいい企画がないか考えていますし、編集長になると雑誌の売り上げが気になります。広告をもらうために広告営業の担当者とスポンサーに営業に行くこともあります。
 社内での支持も大切です。役員に気を使う必要もあります。これはそんなに一所懸命はしませんでしたが。雑誌を売ってくれる販売部、広告部にもいい印象を持ってもらわなければなりません。
 もちろん編集部部員の士気を高めなければならない。
 忙しいし、気を使うことも多いし、本当にストレスの固まりを飲み込んでいるようなものです。
 権限もありますが、責任も重い。好きな仕事ですからできたといえますね。いまでも、企画をつくるのは好きです。おもに健康関係の企画ですが、テレビでもラジオでも雑誌でも企画を考えるのは好きですね。
 十二指腸潰瘍は薬を飲んでいました。痛くてしようがないときに飲みますが、痛みが治まったら飲みませんでした。じつは痛くなくなっても飲み続ける必要があったのです。
 腎臓の具合が悪くなって、専門医に診てもらっていたのですが、十二指腸潰瘍があって、ときどき痛くなりますと話したところ、胃カメラで調べてみようということになりました。胃カメラ、正確にいうと胃内視鏡ですが、潰瘍のある付近から一部を切り取って調べてもらいました。わたしが場合は、潰瘍が治った瘢痕がいくつもあったそうです。その結果、ピロリ菌がいることがわかりました。
 ピロリ菌は、胃・十二指腸潰瘍の原因になります。

2ピロリ菌は何ものか
 ピロリ菌は、胃や十二指腸に棲みついています。胃の中に細菌が棲みつくとは考えられませんでした。胃の中には胃酸という非常に強い酸が分泌されていて、硬い肉などもドロドロにしてしまいます。胃酸には、食べものを溶かす役割と、細菌などを殺す働きもあります。食べものといっしょに、口の中にいる細菌なども胃に入ってきてしまいますが、それを殺すのです。
 胃酸という強い酸があるから、胃の中には細菌が棲みつくことはできないといわれてきました。
 ところが、棲みつく菌がいたのです。これがピロリ菌です。ピロリ菌は、上下水道が完備しているところに住んでいる人の胃の中にはあまりいません。日本人でもピロリ菌に感染している人のほとんどは、55歳以上の人です。上下水道が完備された東京オリンピック以降に生まれた人で、ピロリ菌に感染している人が少ないようです。
 そして、ここを強調したいのですが、現在、ピロリ菌は十二指腸潰瘍の90%以上、胃潰瘍の80%近くに関係していることがわかっています。以前、胃・十二指腸潰瘍はストレスや生活習慣によって起こるとされてきました。わたしもそう思っていました。
 ピロリ菌が胃・十二指腸潰瘍の原因であることがなかなか認められませんでした。医学常識が壁になっていたのです。
 ピロリ菌が発見されたのは1982年、オーストリアのバリー・マーシャル、ロビン・ウォーレンという二人の研究者が見つけました。「ピロリ菌の発見と胃・十二指腸潰瘍における役割の解明」で二人は2005年にノーベル賞をもらっています。でも、約20年近く認められてこなかったのですね。
 ピロリ菌は、正確にいうとヘリコバクター・ピロリといいます。螺旋形の細菌で尻尾(鞭毛)が何本かついていて、それを回しながら動きます。ヘリコは螺旋という意味のようです。鞭毛をヘリコプターのように回しながら動くからかなと思っていましたが、ちょっと違いました。
 ピロリ菌は、増殖に時間がかかり、その発見もたまたま実験助手が休暇を取ったので、シャレーに放っておいたら群れになっていたので見つかったそうです。
 それにしても、長い間胃・十二指腸潰瘍はストレスが原因といわれてきました。しかし、原因は細菌だったのです。
 細菌が原因ですから、除菌すれば胃・十二指腸潰瘍はたいへんよくなります。

3ピロリ菌の検査も簡単に
 わたしがピロリ菌の検査を受けたときは、胃カメラをのんで怪しいところをほんの少し切り取って調べたのですが、いまは吐く息でわかります。
 袋に息を吹き込むだけでわかるのです。
 先日、その検査を受けてきました。逆流性食道炎があることがわかりましたが、胃潰瘍もあるのではと、ひょっとしたらピロリ菌が完全に除菌されていないのではないかということで、検査を受けました。
 検査の前2時間は飲食が禁止されますが、2時間前ですから、内視鏡をのむことにくらべれば、なんでもありません。
 まず、最初に何もしない状態で袋に息を吹き込みます。次に薬を飲んで5分間横になります。それから15分ほど椅子に座って待ちます。そして、また息を袋に吹き込みます。合計2回息を吹き込みます
 検査はこれで終わり。保険もききます。息を吹き込むだけの簡単な検査です。まったく痛くもありません。
 検査の結果、ピロリ菌がいるとなれば、薬を飲むことになります。抗生物質です。抗生物質の副作用がごくまれに起こるようです。下痢、発熱、発疹などです。副作用が強い場合は、服用をやめなければなりません。最近は、副作用の少ない薬がいくつも開発されてきました。
 薬を飲むだけですから、これも簡単です。ピロリ菌を除菌できれば、胃・十二指腸潰瘍で胃が痛くなることはありません。わたしもかつてはお腹がすくと胃が痛くなっていました。胃が痛くなること自体も結構なストレスでした。
 それがなくなりました。たまに胃が痛くなることもありますが、昔みたいに痛くなることはありません。
 息で調べた結果は、本日わかります。その報告は後日。

4ピロリ菌が胃がんの原因に
 胃がん患者のピロリ菌保有率は90%以上に上るといわれています。また、WHOはピロリ菌を胃がん発生の発がん物質としています。日本の研究でピロリ菌がいない患者さんから胃がんは発生しないという発表もあります。これを10年間の追跡調査でわかりました
 もちろん、ピロリ菌がいても胃がなんともないという人もいます。わたしのように、検査でピロリ菌が見つかったら、除菌したほうがいいと思っています。胃がしょっちゅう痛くなる人は絶対検査をしたほうがいい。ピロリ菌が見つかれば、除菌しましょう。