帯津先生へのエール

わたしの書いた『民間療法のウソとホント』のなかで、民間療法、健康食品を選ぶときの注意点を紹介していますが、帯津良一先生の選択基準を参考しています。
帯津先生は、埼玉県川越で帯津三敬病院を開設し、がん患者さんの駆け込み寺といわれ、テレビなどでも話題になりました。
西洋医学では治療法がないといわれた患者さんに、さまざまな治療法をやってみましょうと、中国医学、気功、心理療法などを使って、患者さんといっしょになって治療をしています。
わたしも取材させていただいたことがありますが、患者さんの話をじっくり聞いてくれ、いっしょに治療法を考える、という姿勢がとてもいいと思いました。
わたしの友人が、帯津先生が長野で開いた「養生塾」に行き、そのときに、先生が『民間療法のウソとホント』をとりだして、「この本でわたしがかつて提唱した健康食品の選び方が紹介されていますが、いまはそれに加えて『売っている人の人相がいいか悪いかを付け加えます』。そしてこの本に民間療法に対する方法がきちんと書かれている」といわれたそうです。
売っている人の人相、いかにも帯津先生らしく、わたしの本を推薦していただき、本当にありがとうございます。
帯津先生が、『達者な死に方練習帖』(文春新書)という本を出しました。
江戸時代の儒学者貝原益軒の書いた『養生訓』や、臨済宗の名僧白隠禅師の呼吸法、『言志四録』を著した佐藤一斎の言葉を紹介しています。
以前このブログでも貝原益軒を紹介したことがありますので、省略します。
白隠禅師は呼吸でも吐く息をゆっくり吐き切ることが大切だといいます。
おなかで呼吸する方法を腹式呼吸といいますが、白隠禅師の呼吸法はそれをもっと深めたものです。
ゆっくり息を吐いていくと、下腹を自然と意識するようになります。呼吸を感じる下腹のあたりを「丹田」といいますが、『いのちを生みだす田んぼ』という意味だそうです。この丹田を意識します。息をためるのも、吐き出すときも丹田がかなめになります。
佐藤一斎の『言志四録』は、西郷隆盛の終生の愛読書だったといわれています。
学ぶことの大切さや死生観等が多様に語られています。
「少にして学べば、すなわち壮にして爲ことあり。
壮にして学べば、すなわち老いて衰えず。
老いて学べば、すなわち死して朽ちず」
若いときに学ぶことも大切だが、歳をとっても学んでいれば、朽ちることがない。人の記憶に残るということでしょうか。
いい言葉ですね。
ほかにもこんな言葉も紹介されています。
「死の後を知らんと欲せば、当に生の前を観るべし。昼夜死生なり。覚醒死生なり。呼吸も死生なり」
生きていると思っているが、寝ているときは死んでいる。そして目が覚めて生き返る。毎日生と死をくり返している。
こんな意味でしょうか。死は常に身近にある。これを知りなさいというわけです。
江戸時代の、まさに先人の生き方がわかりやすく解説されて、そこに帯津先生のエッセンスが盛り込まれています。
ぜひお読みください。