検査について

病院で働いているのは、医師や看護師ばかりではありません。レントゲン技師、いまは放射線技師といいますが、それ以外にたいへんお世話になっているのが検査技師です。これも正確には臨床検査技師といいます。
かつて、検査も医師が行っていましたが、検査項目もふえ、専門的に行う検査技師が必要になりました。検査技術の発展に伴い、それほど時間もかからず結果がわかります。病院の医師は、患者の検査結果を見ずに、診察することはもはやあり得ません。昔は、聴診器、血圧計、体温計などの診察器具を使って、患者のからだを診察して、診断を下していました。クリニックや診療所で検査機器がなく、検査ができない開業医の場合は、検査結果を元に即診断はできませんが、採血した血液や尿を検査会社に送り、検査をしてもらいます。検査をしないで患者を診る医師は少ないでしょう。
この臨床検査技師をしていた友人から、いろいろ話を聞く機会がありました。彼女は、東京の大学病院で検査技師を大学卒業後約30年ほどしていました。わたしより少し年上で、50歳代のはじめにやめていますが、この時代は検査が大きく変わって、いまのようなコンピュータ体制になろうとした時代です。
たとえば、磁気化された診察カードには、さまざまな情報が入っています。カードを認識させれば、病院で保管している検査データにつながり、過去のデーがすぐに検索できます。本人の確認が簡単にできますが、こういうシステムがないときは、まず本人の確認、過去のデータとの付け合わせがたいへんだったといいます。
そこで、診察券が重要だったのです。前回、前回のデータがきちんと見られるようにするには、どうすればいいか。それを可能にしたのが診察券です。診察券によって、管理をしようというわけです。こうした提案をしてきたそうです。

わたしが通っている病院では、診察の40分前にきて検査を受けてくださいといわれます。血液と尿検査をします。この検査から、いまのわたしのからだの状態、腎臓の状態がわかります。主治医からカリウムの値が上がってきているので、減らしてくださいといわれました。腎臓の機能が衰え、本来なら排出されるべきカリウムが血液中にふえてきていたのです。カリウムは心臓の筋肉に働いて心臓病の原因になります。カリウムが徐々にふえてきたので、カリウムを制限しましょうということになりました。カリウムは野菜に多いのですが、摂取する場合は水にさらし、もしくは茹でること。トマトジュース、野菜ジュース、バナナやトウモロコシはカリウムが多いのでとらないようにといわれました。
わたしは、血圧を下げるために、毎朝ウォーキングをしたあと、トマトジュースを飲み、バナナもよく食べていましたが、カリウムが制限されましたので、一切やめました。すると、次の診察のとき、検査結果に変化がありました。カリウムの値が下がったのです。主治医もホッとしていました。

検査結果をみて、患者の状態を知り、診察の結果、指導をしてくれるのですが、わたしのような慢性の病気を持っているものにとって、これは非常に重要です。3ヵ月に1回診察を受けているのですが、経過を調べながら、指導をしてくれますが、この検査結果が即日に出て判断できるので、医師も患者の状態を正確に知ることができます。
10年ほど前ですが、東京で腎臓を診てもらっていたのですが、このときは1ヶ月に1度の診察だったのですが、検査結果は翌月の診察の日にしかわかりませんでした。極端ないい方をすると1ヵ月前のからだを診ていたわけです。ただし、1ヶ月の1度ですが、定期的な診察だったので、これでよかったのかもしれません。やはりその日のからだを診てもらったほうが患者としては安心します。基本的には、経過を追うことが大事ですから、その日1日の結果だけで診察しているわけではありませんが、検査データが即わかるのは安心です。
そして、歯科も同じように検査が重要です。『歯は磨くだけでいいのか』で訴えたかったことです。