おおもとの病気がなくなった

わたしの右の腎臓が機能しなくなった原因は、尿管が膀胱とつながっているところに「憩室」というくぼみができ、そのために尿が膀胱にスムーズに流れず、腎臓に逆流してしまい、腎臓が尿で水浸しになる「水腎症」という状態になり、徐々に機能しなくなっていった。


今回、がんができたところはこの憩室の中で、がんができるまでに、右の腎臓はすでに機能を失い、委縮していた。
その結果、腹膜透析に至るのだが、右の腎臓からわずかだが尿が出ていて、それががんで堰き止められ、委縮して小さくなっているはずの腎臓が少し膨らんできていた。改めて水腎症と診断された。
じつは、腹膜透析をはじめたとき、委縮しているはずの腎臓が大きくなっていることがわかり、それが透析液が流れていくのを阻害しているのでないだろうかと、いろいろ検査をした結果、がんのあることがわかった。


腎不全の原因となった憩室に腫瘍が発見されたのである。
憩室は宿痾ともいえる。
がんとともに膀胱の一部を取り除いたので、憩室もなくなった。
尿管がんの標準治療は、がんだけでなく腎臓と尿管もすべて切除する。
尿管がんのがん組織が尿管や腎臓にあると考えられるからである。


がんの切除と、腎臓、尿管の切除を行うので、これはかなり大掛かりの手術となる。
手術時間が6時間半もかかったのはそのためだ。
わたしの場合、腎臓と尿管の切除は腹腔鏡手術で行われたため、この部分の傷口は小さく、術後もほとんど痛まなかった。
がんを切除するために開いた腹部のほうが痛みがあり、いまでも痛くなることがある。


しかし、尿管がんとともに周囲の組織を切り取り、病理検査をしたが、がんは広がっていなかった。
ほっとした。
しかし、がん自体も大きく、浸潤もあると考えられ、残っている腎臓の機能が損なわれないように、副作用の少ない抗がん剤を服用することになった。
いまのところ、吐き気などの副作用はない。

からだの中の悪い部分が取り去られ、すっきりした気分である。


がんといわれたときの不安などについては、別の項で述べたい。