意外と見た目は大切

少し旧聞になりますが、俳優の大杉漣さんが66歳で亡くなりました。
テレビでも拝見していましたし、たまたま借りたビデオにも出演されていて、
たいへん元気そうだっただけに、驚きました。
大杉さんの死因は急性心不全
心臓の働きが悪くなって、さまざまな症状が現れます。疲れやすい、だるい、動悸がする、息切れがするなどです。これが心不全です。
大杉さんの場合は腹痛を訴えられていたようですが、心臓の病気の痛みは放散痛といって心臓以外のところに痛みを覚えることがあります。
肩や背中、場合のよっては歯が痛くなることもあるようです。
しかし、これが心不全の前兆と考える人は少ないでしょう。
普段から、疲れやすい、だるい、動悸がするという人は、こういう症状にも要注意です。


もう少しくわしく説明しましょう。
たとえば、平らなところを歩いているときはなんともないのですが、
坂道を登ったりすると、息切れが激しくなるという場合は、心不全の初期のことがあります。
医師に診てもらうといいでしょう。
心不全が進行してくると、あおむけになって寝ていると咳が続けて出たり、息苦しくなって、からだを起こすと楽になるということがあります。
これが進んでくると、夜突然息苦しくなって目が覚め、起き上がっても息苦しさがなかなか元に戻らなくなります。
このとき息をすると、ヒューヒューと音がします。かなり重傷ですぐに入院する必要があります。


心不全が急激に悪化する場合、急性心不全といいます。一方、症状があってもそれなりに状態が安定する場合は、慢性の心不全です。もちろん治療は必要です。


そもそも、心臓の働きが悪くなるとは、
心臓から押し出される血液が少なくなる、もうひとつは心臓が受け取る血液が少なくなることです。
だるい、疲れやすい、動悸がするといった症状は血液がうまく出ていかないときに起こります。
心臓に戻る血液が停滞してしまう状況はどうでしょう。
たとえば、肺で血液が滞ると、息苦しさを感じます。
ご存じと思いますが、肺で血液に新鮮な酸素が入るわけですから、
それがうまくいかなくなるので息苦しくなるわけです。
肝臓で血液が滞ると食後おなかが張ったり、鈍い痛みを感じたりします。


治療の基本は、原因となった病気の治療です。
心臓を動かしている血管がつまると、心臓の筋肉に酸素や栄養が届かなくなります。
心筋の働きがわるくなれば当然血液は流れていきません。
この状態を治療するには、つまっている血管に風船のようなものを入れて広げるとか、
新しい血管をつなげるといった方法があります。
心臓の弁の動きが悪ければ人工のものと取り換える方法もあります。


慢性の心不全の場合は、薬による治療が行われます。


心臓を守るために大切なことは血管をしなやかに保つことです。
血管の病気といえば、血管が硬くなってしまう動脈硬化です。
血圧の高い状態が続くと、血管に常に刺激が与えられています。その結果、血管が硬くなっていきます。
塩分の摂取によって血圧が高くなりますから、塩分を減らしていきます。


血圧は、自分の血圧の状態を知ることが重要です。
自分の血圧がどんな状態にあるのか、これが第一。
とくに早朝の血圧を調べておきましょう。
そのためには、自宅で測ること。病院やクリニックでは朝の血圧はわかりません。


次に、食事ですが、血管をしなやかにするマグネシウム
マグネシウムが多い食べものは海藻類、海苔、わかめ、ひじき、昆布など。
ほかには大豆。納豆もいいでしょう。味噌に多く含まれていますから、みそ汁もいい。
青魚。いわし、サバ、さんまなどもお勧め。缶詰でもいいようです。
カリウムも有効です。カリウムが多いのはなんといっても野菜。
ジャガイモなどのイモ類、果物にも多い。バナナにはカリウムはとくに多いので、お勧め。


女性の場合、更年期を過ぎるとエストロゲンという女性ホルモンの分泌が減っていきます。
エストロゲンは血管を守る働きをしています。これが少なくなるので、更年期以降は血管の老化が進んでいきます。とくに注意が必要です。

運動は、大切です。ウォーキングでもいいし、何しろからだを動かすことを習慣にしたいものです。


やめたいのはタバコ。
心筋梗塞にもなりやすい。一服吸うだけで血管をぎゅっと収縮させることがわかっています。


一般論になってしまいますが、健康診断を受け、何か問題があれば速やかに診察を受け、治療を行うことです。

ここで、興味深いデータがあります。
見た目の老化と血管の老化は比例するというものです。
見た感じが若いということはそれだけからだの中の血管も若いというのです。
見た目の若々しさを保つため、姿勢がいいとか、全体的にスキっとしているとか、いろいろありますが、
ふだんから自分のからだを見ることですね。