伴走のゼッケンの陰に

皇太子さまが昨年の夏、パラリンピック銀メダリストの伴走をしていたことがわかった。来年5月1日の新天皇即位まであと半年。「国民の中に入っていく皇室」を目指す新しい天皇像の一端が見えてきた。

 6月26日夕。木々に囲まれた東京・赤坂御用地
 「走りやすいですか」。皇太子さまが隣のランナーに声をかけた。リオデジャネイロパラリンピック視覚障害者女子マラソン銀メダリスト、道下美里さん(41)=三井住友海上=だ。
 皇太子さまは「伴走」と書かれたビブス(ゼッケン)を身につけ、蛍光の黄色の伴走用ロープを右手でにぎり、左手にロープをつかむ道下さんに声をかけながら約1・5キロの道を走った。

 ■ロープ自ら用意
 道下さんによると、皇太子さまは最初のでこぼこの道で「これは何とお伝えしたらいいのでしょうか」と戸惑いを見せていたが、数分走ると息が合い始めた。カーブの手前で「右に曲がっていきます」、足場の悪い道の手前で「でこぼこがあります」。1キロ7分のペースが6分のペースに変わり、リズムがよくなった。
 皇太子さまは、伴走者の声のかけ方や道下さんの走りの特徴を動画サイトで調べたという。伴走用のロープは自身で用意。走る直前には専用のゴーグルをかけて御用地内を歩き、視覚障害者の感覚も体験した。
 ジョギング後は右腕を道下さんにつかませてアテンド。「飲み物は何にされますか」と気遣いもみせた。

 ■園遊会きっかけ
 2人が出会ったのは昨年11月の園遊会。道下さんが「機会があれば一緒に走りたいです」と伝えたところ、皇太子さま側から返答があり、伴走が実現した。
 道下さんは山口県下関市出身。小学生の時に角膜の病気で視力が落ち、中学の時に右目の視力を無くした。25歳で左目もほぼ見えなくなった。最初はダイエットのためにはじめた陸上だが、頑張るほど結果がついてきて、のめり込んだ。昨年出した2時間56分14秒は視覚障害女子の部の世界記録だ。
 2020年パラリンピック東京大会で「前回より良いメダルを取って、また園遊会で報告できるように頑張ります」と伝えた。
 皇太子さまの思いについて、よく知る関係者は「初めての場所で走る体験を通し、道下さんの世界を広げるお手伝いがしたかったのではないか。ご自身も公務の場面だけではなく、より身近なふれ合いを通して国民への理解を深めたいとお考えになったのでしょう」と話した。(緒方雄大
 

皇太子が、新しい天皇となるにあたり、新聞にもさざまな報道がなされています。

先日、伴走者のゼッケンを付けた皇太子が載っていましたが、実際にそういう活動をされているのです。

国民とともに走るという姿勢はこれからの皇室によって、良きイメージを与えることでしょう。