のどの奥

 わたしたち人は、鼻と口で呼吸している。ほ乳類のほとんどが、鼻で呼吸しているが、人だけが口で呼吸することもできる。口で呼吸できるようになったのは、人は話すからである。
 コミュニケーションをとるために口で呼吸するようになったのだが、そのために、のどの奥に免疫器官が非常に発達した。ほ乳類で、これだけ大きな免疫器官をのどに持っているものはいない。
 人ののどの奥にある免疫器官の働きは、まだ全面的に解明されていない。なぜか。それは動物実験ができないからである。いまや人の病気の大部分は動物実験をすることが可能になった。高血圧、認知症、肥満、などなど、人のかかる病気を動物にかかってもらい、それで実験をくり返して、どのように病気が起こるのか、進行していくのかを研究してきた。
 ところが、人だけが持っている器官については、動物実験ができないので、解明がすすんでいないのである。
 のどの奥にある免疫器官の働きでわかっていることは、外部から侵入してくる細菌やウイルスなどの感染を防いでいることだ。鼻で呼吸していると、鼻の奥にある粘膜などに汚れや細菌がくっついて排除されるので、のどの奥の免疫器官も一生懸命に働かなくてもすむのだが、口で呼吸していると、ダイレクトに細菌などが入ってくる。
 そのために、細菌などの感染力が強いと、免疫器官の働きが追いつかず、病気になる。カゼなどのがその典型。
 のどの免疫器官に思う存分働いてもらうには、できるだけのどを温めておくことだ。夜寝るときに、のどにタオルをまいて寝るだけでいい。
 朝起きたときにのどがしっとりしていることを感じると思う。
 わたしの場合だが、ちょっと具合が悪いなと感じてもひと晩寝るとよくなっている。