自前の歯で噛む

 歯、なんて入れ歯もあるし、自分の歯を守らなくてもいいじゃないか、という人もいる。永六輔のように、総入れ歯になれば、もうは歯磨くなくてもいいし、こっちのほうがよかったという人もいる。
 総入れ歯も部分入れ歯も、自分の口にぴったり合って、何の不自由もないというなら、いいかもしれない。しかし、どんな優れた入れ歯でも、やはり人工物である。自分の歯のようには噛めない。
 日本歯科医師会が協力して、全国の歯科医師がアンケートに答えている。それによると、自分の歯が少ない人ほど、栄養状態が悪く、長生きしていない。失った歯の多い人ほど、カルシウムを筆頭に、ビタミンA、C、E、カロテンなどの栄養素が不足している。
 この研究をした歯科医師は、「歯科医なら、入れ歯もいいものを入れているはず」という。どんなにいい入れ歯でも、栄養不足になる恐れがあるという証拠である。
 死亡率も、歯がない人ほど高く、自分の歯が15本から28本ない人と4本以下しか失っていない人を比較すると、最大で1・8倍も差があった。
 歯科医師の統計だけにかなり信用できる調査だが、これは「歯の大切さ」を十二分に証明している。
 みなさん、もう一度歯に注目してください。