マグネット・じいちゃん

 15日から、カミさんが働いているギャラリー・カフェで、義父の遺作展を開かせてもらっている。
 義父の田舎から、石川県から、東京から、千葉から、なんと香港からも亡き父に会いに、多くの人がやってくる。
 たいしたものだ。
 義父の磁力に引き寄せられるようにやってくる。
 わたしの知っている人もお見えになり、少し思い出話をさせていただいた。


 おいでなった方々に気に入った絵があったら、お持ちくださいというと、みな絵をもっていく。
 電車できた人には、お送りすることになるが、ほとんどの絵に、お送りする人の名札がついた。
 義父は亡くなったが、描いた絵は、義父を愛した人々の家で飾られ、生き続ける。
 絵もこうした行き方を与えられて、よかった。
 
 葬儀は家族だけで行い、遺作展を開いて気に入られた絵を持ち帰ってもらいたいといっていた。
 そんな形でみなさんとお別れしたいという義父の心遣いが十分に活かされた。

 亡くなった人から、何かを渡される。
 何かを受け取る。
 絵というのは、それにたいへん叶っている。
 

 わたしの友人たちもやってきた。
 久しぶりに旧交を温めることができた。


 近くに住む友人たちもやってきた。


 義父のために椅子をつくってくれたKさんには会えなかったが、義父の絵をずいぶんと気に入ってくれ、彼のギャラリーに飾ってくれるという。これもうれしい。
 いろいろな人の目にふれ、生き続ける絵。

 義父は幸せである。