マグネットの続き

 義父の遺作展が終わった。
 150名余の人々がきてくれた。わずか8日間。ギャラリーは都会でなく、山の中。
 そんな条件でありながら、これだけの人々が、義父に別れを告げるために、駆けつけてくれた。
 義父は本当にマグネットを持った人だった。

 
 わたしの友人たちにも久しぶりにあった。
 お互い変わらぬことがうれしかった。
 時間を一気に超え、まるで昨日別れたかのように振る舞える。これが友人である。

 
 思わぬ形で背中も押せた。
 知り合いの奥さんがインスリン依存型の糖尿病で、転居とともに医師を変えたが、何かしっくりこない。以前診てもらっていた先生に変えようと考えていたが、迷っていた。
 インスリン依存型の糖尿病は、突然インスリンが出なくなる病気で、生活習慣病の糖尿病とは大きく異なる。わたしはインスリン依存型の糖尿病は名称を変えたほうがいいと思っているが。
 さて、ご夫婦で義父の遺作展にきてくれ、いろいろ話をしているうちに、その話になった。
 インスリン依存型の糖尿病を診ている医師は少ないし、やはり以前診てもらっていた医師に信頼がおけるなら、戻ったほうがいいでしょうといった。
 そうしてみるといいながら、晴れやかな顔をして帰られた。

 
 つい先頃鳴き始めたカッコウをはじめ、鳥の声がよくする。
 ギャラリーを訪れた人に、鳥の声を流しているの、と聞かれたのには驚いたが、都会からくるとそんな気がするのかもしれない。

 
 あわただしい日々が終わり、いよいよ本格的に仕事モード。やらなければいけないことがたくさんある。