健康食品の正しいとり方

サプリメント、健康食品について、原稿を書いています。


かつて『民間療法のウソとホント』(2011年発行文春新書)という本を書いたのですが、健康雑誌の黎明期から編集者としてかかわり、最初にかかわった雑誌ではありませんが、健康雑誌の編集長までなりました。
当時の文春新書の編集者から、あなたしか書けないこと、健康雑誌の内幕から健康情報をつくり方まで書いてみませんか、といわれました。
テレビをはじめ、健康情報はたくさんあふれています。みんな何か踊らされているような気もします。本当に信頼できるものはどんなものがあるだろう。
現在の健康情報のあり方に疑問を持っていたし、さらに健康雑誌の胡散臭さを暴いてみようと書きました。


じつは、健康雑誌の業界から十数年以上はなれているので、いまどうなっているのか、健康雑誌を出版している会社のサイトを見てみました。いちばん健康雑誌をたくさん出している社長が自社の紹介をしています。


当社は、“はやらせる”のが好きな会社です。古くは紅茶キノコから、酢大豆、尿療法、ヨーグルトきのこ、ダイエットテープ、美肌水、にがり、爪モミ、トイレ掃除、摩耗の言葉、腰回し、手相書き、朝バナナ…。
みーんな消えていったもの?
いえいえ、今やどんな辞書に載っている「半身浴」。これは○○が特集のタイトルではじめて使った編集部の造語です。
ニンジンジュース。これも今やトマトジュースより出荷量の多い健康飲料の定番になりましたが、○○がさかんに特集したころ、市販のものはありませんでした。
これらを世に出したのは、わたしたちの雑誌や書籍、ムックの企画です。わたしたちは企画することが大好きな会社なのです。
企画を立てる際に大切にしているのは、企てる心意気です。「くわだてる」の語源は、
くわびら(足の先)を立てる
あるいは、
くわ(鍬)を立てる
だそうです。いずれにせよ、何かを新しく始めようという意気込みを強く感じさせる言葉です。
わたしたちはこれからもいろんなことを企てます。
どうぞ、お付き合いください。


なんとも、いやはやという内容でした。
健康、からだのことを扱う出版社とは思えません。
自分たちが紹介する健康情報に関する責任はどこにあるのか。おもしろければ、いいのか。あきれ果ててものがいえない。
この出版社は、自社の雑誌で紹介した健康食品や健康グッズを販売する会社を経営していますが、その会社の責任者が薬事法違反で逮捕されました。
健康情報を発信している出版社のすべてはそうだとはいいませんが、新聞広告で健康雑誌の宣伝を見ると、どうも信頼が置けません。
わたしの本が出版された後、この自社紹介も少し内容を変わりました。しかし、大きく編集方針が変わったとは思えません。


これは、医療ジャーナリストと名乗っている、わたしもそうですが、コメンテーターにも、そしてマスコミにも責任があります。
がんを防ぐもしくは治す、血圧を下げる、血糖値をコントロールする、やせる、長寿遺伝子を活性化させるという成分が見つかると、いっせいに報道するでしょう。
こうした成果が試験管での実験、動物での実験段階だとしても、報道されたら飛びつきたくなるものです。
これは、動物実験での成果ですから、ヒトでの効果はよくわかりません、とくり返し、伝えなければいけないのですが、それが徹底されていません。
それがきちんとあったとしても、新聞記事なら、読み返すことができますが、テレビの報道はあとで確認することがむずかしい。
聞き流してしまい、なんとなくいいらしいということで飛びついてしまいます。
健康雑誌の出版元の社長ではありませんが、流行らそう流行らそうとしている感じもします。


わたしたちの側にも責任があります。
食べものでいえば、魚も肉も野菜もバランスよくとることが基本です。そのうえでからだにいいものをとることが大切です。
何かひとつ、これさえとっていればいいというものはありません。
ブロッコリーやサケがいいといってきましたが、ブロッコリーとサケだけを食べていればいいわけではありません。
積極的にとってもらいたいのですが、これだけで十分ではありません。
3食しっかりとって、バランスよく、というと、当たり前じゃないかといわれそうですが、じつはこれが重要なのです。
サプリメントや健康食品について、取材の過程で食事をきちんととっていないと、サプリメントも効果を発揮しないというデータを教えてもらいました。
どういうことかというと、サプリメントとなるような有効成分がからだの中でどのように利用されるかを調べてみると、食事をしっかりとっていた人のほうが利用率が高かったのです。
食事のバランスが悪いと、有効成分も吸収されないというわけです。
これは非常におもしろい結果です。
受け取る側の態勢が整っていないと、有効成分が入っていかないのです。
まず、自分の食生活をしっかりしてから、有効成分もとりましょう。
本当に必要なものを。

上部や下にフコイダンの広告が出てくるかもしれませんが、
まったく推奨していませんので。