長寿大国衰退への道(序)

日本人間ドック学会健康保険組合連合会は、健康診断や人間ドックで「異常なし」としていた判定を緩めると発表した(4月4日付朝日新聞)。
太り過ぎ、高血圧、肝機能異常、コレステロール過剰と指摘されていた数値を緩め、これぐらいなら太っていても大丈夫、多少血圧が高くでも薬を飲むことはありません、脂質異常もそんなに神経質にならなくていいですよ、あなたの肝臓はまだまだ無理はききます、という感じだろう。
国民皆保険のおかげで、わたしたちはちょっと具合が悪くてもお医者さんに行くようになった。
そして、これが、少し血圧が高ければ降圧薬をもらい、コレステロールが高いと薬を飲むという習慣をつくってきた。
もちろん、医学の発達もあるが、こうした予防的な処置によって、わたしたちは寿命を延ばしてきた側面がある。
高血圧や肥満などの判定が厳しすぎる、病気の人をふやしているといわれれてきたが、一方で予防的な役割も果たしてきたと思っている。
アメリカでは、国民皆保険ではないために、自分のからだを守るために、子どものころからサプリメントを飲んでいるという。日本でも、サプリメントを薬代わりにもっと普及させようという動きがあるが。
もう遅いのかもしれないが、食生活を改善し、なおかつきちんと運動しないと、長寿大国を謳歌することはできない。
自分のからだは自分で守れ、ということが徹底されていくだろう。
そういえば、団塊の世代前後の人たちの訃報をよく聞くようになった。
団塊の世代は長生きしない。
それは理由があるのだが、この世代がいまの平均寿命まで生きることはむずかしい。
となると、日本の人口減少は著しく進むだろう。
さて、どんな事態が待っているか。