はじめて診てもらう医師に見せたいもの

先日、当地で在宅診療を進めている医師の講演会に行ってきた。
大学時代に通った特別老後養護施設で「人を診る」ことの大切さを知り、総合診療医、家庭医を目指すようになったという。
さらに長野県の佐久総合病院での研修を積んで、在宅診療にも興味を持ち、山梨に戻り、山梨県内でも在宅医療を進めている病院で、在宅医療の技術を磨き、昨年当地の診療所に勤務するようになった。


在宅医療は、病院や診療所に通うことができなくなった患者を自宅で診るわけだが、医師が患者の自宅を訪ね、診療することだけが目的ではない。
自宅での患者の様子を見、医療以外に何が必要か、もし、介護が必要と思われたら、どんな介護があれば、患者がもっと快適に日常を送ることができるのかを調べる。
必要に応じて、介護スタッフに声をかけ、ケアプランを作ってもらったりすることもする。
治療だけをしていればいいというものではないという。
まさに患者と寄り添うように、生活の質を高めていくことが大切という話を聞き、大いに納得がいった。


ところで、在宅診療でおもむく患者は、医師が長年診ていた患者だけではない。                         
新たに在宅医療を依頼するには、当然のことだが、まず医師による診察を受ける必要がある。
こうしたとき、患者が医師に伝えなればいけないことは何だろうか。
病状を正確に伝えることができれば、いいのだが、在宅医療を依頼するぐらいだから、病気も深刻なものが多いはず。場合によっては認知症で病状を伝えることもできないかもしれない。
そんなとき役に立つのが、まず、お薬手帳、次に検査記録である。
できれば、ここ最近のものだけでなく、病気を発症したときからの服薬の記録、検査の記録があれば、診断するうえでたいへん役に立つ。
病院での検査記録がなければ、健康診断の結果でもいい。


これは、新たに医師にかかる場合にも、有効である。
わたしの腎臓の主治医は、車で40分ほどはなれた総合病院の腎臓内科の医師だが、かかりつけ医は近くの診療所の医師。腎臓を専門に診てもらっていることはかかりつけ医も知っているが、わたしはかかりつけ医からインフルエンザの予防接種を受けたときなどに、腎臓病に関する検査記録を持っていき、現在の状態を知ってもらうようにしている。
かかりつけ医は近くで診療しているので、腎臓の病気ではないときにすぐに診てもらうことができるし、相談にのってもらいやすい。総合病院ではそれこそ患者の数も多く、時間がかかるし、腎臓以外のほかの病気に関してはほかの科にかからなければならない。内科といってたくさんの科があるから。
自分の体について、できるだけ伝えるだけかかりつけ医に伝えておくことが大切だ。