命とは

命とは、何か。
こんなことを考えたのも、がんのおかげか。


放射線治療による副作用、排尿痛がなくなり、
さらに内視鏡、CT、MRI検査の結果、がんは見つからず、
経過観察となったのだが、治るものもあるけど、徐々に進行していくものもある。
放射線治療による副作用はなくなったが、がんそのものはなくなったわけではない。
からだのどこかに潜んでいるのかもしれない。
がんというものは、そういうものだし、治ったとなかなかいえない。
「経過観察とは」はよくいったものだ。なるほどと思う。


そんな状態だからこそ、命とは何だろう、と考えてしまう。
「からだは、命の乗りもの」
という考え方がある。
からだは、老化という道を進んでいく。
若いときは、そんなことは思いもしなかった。
無理もできた。仕事がら徹夜をすることもしばしば、泥酔するまで飲んだこともある。
そんなことはできなくなり、遠い昔の話になった。
そして、病を得た。
腎臓が動かなくなり、透析をしている。完全に機能を失ったわけではないが、これも元には戻らない。
乗りものが痛んできている。


ところで、分子生物学の観点からすると、細胞も分子レベルで観察すると、
三日ぐらいで入れ替わっているのだという。
老化とは、分子の入れ替わりがうまくいかなくなることか。
がんは、その典型である。わたしたちの細胞は、同じものに入れ替わるようにできている。
DNAという遺伝子のおかげだが、がんはこのDNAがうまく引き継がれず、がん細胞ができる。
しかし、よく考えてみるとがんも身の内。
からだの一部である。


からだという乗りものは、病を得、老いていき、いずれは朽ち果てていく。
命もともになくなっていくのだろうか。


命は何か。


わたしたちが住んでいる地球は、動植物という命にあふれている。
それらの命はどこに行くのだろうか。