食卓にて

 食べるときに心がけたいこと。
 それは、ゆっくりよく噛んで食べる。仕事がら、というと、納得しない人もいると思うが、早く食べることを義務づけられていた。たとえば、座談会に臨むとき、場所が料亭のような場合、料理を運んでくる目安として、食べ終わった人がいることがあげられる。まだ、みんなが食べているときには次の料理は運んでこない。しかし、ひとりでも食べ終わっていれば、次の料理を運んできてもいい。
 対談者は、話をしながら食事をとるので、どうしても時間がかかる。そこで料理を出すタイミングはむずかしくなる。編集者が食べ終わっていれば、次の料理を出すことができるので、様子をみながら、早めに食べろといわれた。
 大体、飯をゆっくり食っているような奴には、仕事はできない、というような風潮があったので、つい早く食べることが習い生になってしまった。朝も昼も、5分とかからなかった。
 早食いがいけないといわれたのは、肥満の専門家にあったときである。太っている人ほど、早く食べる習慣があり、肥満につながる。例の肥満中枢に信号が届かないという理論である。
 肥満中枢もあるが、ゆっくり食べることで食べ過ぎを防ぐことができる。
 病的な肥満の解消法のひとつに、一口30回以上噛むという方法がある。食事の際に、これができたかどうか、朝食、昼食、夕食と、食事ごとに丸をつけていく。丸がふえていくことで、自然と肥満が解消できるのだそうだ。
 わたしも、いまさらではあるが、ゆっくりよく噛んで食べるようにしようと努力している。
 しかし、これがなかなかできないのである。