牛乳について

 牛乳がアレルギーの原因になるのではないか、という話を聞いたことがある。牛乳は、ヨーロッパでも北部在住の人々、おもに狩猟民族が飲んでいるもので、肉食が中心の人たち。緯度いえば、日本よりずっと北になる。アジアに住む農耕民族は、主食はおもに穀類で、そのために腸も、諸説あるがヨーロッパに住む人より2mほど長いといわれている。穀物繊維を分解するには、ある程度の長さが必要らしい。ちなみに、草食動物のほうが肉食動物より腸は長い。
 本来肉食ではない日本人は、牛乳にアレルギーがあるのだというのがその説である。これはおそらく牛乳不耐症のことをいっているのではないだろうか。牛乳不耐症は、牛乳の成分である乳糖を分解する酵素が体の中で作り出すことができないために、牛乳を飲むと下痢をしたり、おなかがゴロゴロしたりする。
 乳糖は、実は母乳にも含まれているが、乳児期は乳糖を分解する酵素が作られるが、乳糖不耐症の素因のある人は離乳とともに作られなくなる。乳糖不耐症は、アジアに住む人、黒人、アメリカ原住民の7〜9割がその素因をもっている。素因はあっても、下痢などの症状が出ない人も多い。
 牛乳に関しては、この不耐症が問題になってきたが、最近、ベストセラーになっている『病気にならない生き方』の中で、牛乳を飲みすぎると骨粗鬆症になるとか、ヨーグルトも腸(腸相)が悪くなると書いてある。本当か、本に書かれている根拠は曖昧だなと思っていたら、日本酪農乳業協会が質問状を出した。著者である新谷さんはぜひ回答してほしい。多いに興味がある。
 こういう論争は大歓迎。科学的ということに、疑問を持つ人がふえてきているからこそ重要である。しかし、業界ではなく、専門家、医師が公開質問状を出すとよかったな。医師同士は、日本ではあまり批判しないから無理か。