えせ科学

 似非とも書く。「似ているが実はそうではない。にせの」という意味である。
 えせ科学が結構はびこっている。モーツァルト効果もそうだ。1993年にアーバイン大学のゴードン・ショーという物理学の先生が、ラット(ネズミ)を使い、モーツァルトを聞かせると短期的にIQが高まることを発見した。ショー先生は、人間の大人でも一時的に集中力が高める効果を期待できると語った。
 このときも決して頭がよくなるとはいっていない。しかし、これが誤解され、いろいろな形で喧伝されてしまい、ショー自身の研究もえせ医科学にされてしまったと嘆いているそうだ。
 マイナスイオン効果もえせ科学のひとつ。イオン化された分子が髪にいいかどうか、立証されていない。マイナスイオンという科学用語を使っているためにだまされてしまう。
 アメリカのニュースショーには、科学的なこと、医学的なことの発表に際し、「これはあくまでも動物実験で、人に当てはめるのは危険だ」とか、「科学的にはもっと検証が必要だ」とかいうコメンテーターがいる。
 日本でもこういう人が必要だ。