口の中

 この話を聞いて、わたしも驚いた。口の中の話である。
 口の中にはどのくらいの細菌がいるか、ご存じだろうか。唾液1ml、このほんのわずかな量になんと1億個の細菌がいる。バイオフィルムでいうと、1gには1000億個。すごい数である。
 細菌の見える人が主人公の『もやしもん』とマンガがあるが、彼が自分の口の中をのぞいたら、卒倒するに違いない。何兆という細菌が口の中にいるのだ。いい細菌もいれば、悪い細菌もいる。棲みつくやつもいれば、ふらふらしているやつもいる。できるだけいい細菌に棲みついてもらいたい。
 できるだけいい細菌に棲みついてもらおうという考えが、プロバイオテックスというもの。そこでいい菌をたくさんとりましょう、そのためには、こんなヨーグルトがいいですよ、ビフィズス菌が必要ですなどの宣伝で使われている。
 棲みつく菌をいい菌にすれば、口の中の環境も変わる。プロバイオテックスは、腸内細菌について研究されてきたが、これからは口の中の細菌についても行われていくようだ。
 むし歯菌、歯周病菌を棲みつかないように、いい細菌を棲みつかせるような歯磨き剤やガムが売られるようになる日も近い。