口からはじまる

 人間の体は一本の管のようなもの。管の入り口は口、出口は肛門。そして、管は、常に外界と接している。人の体の外側は、皮膚が防護膜になって細菌などの進入を防いでいるが、管のほうはどうだろうか。粘膜が細菌の進入を防いでいるが、皮膚ほど強くはない。しかし、体の中には、細菌と闘うさまざまな仕組みがあって、それが弱らない限り、そう簡単には病気にならない。お年寄りが、肺炎などの病気にかかりやすくなるのは、この抵抗勢力が弱くなってくるからである。
 口から先には、細菌などを闘う仕組みが結構あるのだが、口にはそれほど強力なシステムがない。体に有害と思われる菌たちが居ついてしまうのは、そのためである。
 バイオフィルムの中で、抗生物質に強い細菌とそうではない細菌の間で、変化を起こし、もっと有害な細菌が生まれてきている。これが院内感染の原因菌になっているという。
 バイオフィルムはほっとけないのだ。