寄りかからず

 『倚りかからず』という茨木のり子さんの詩集があるが、同じ寄りかからずでも少し字が違う。茨木さんの詩も好きだが、わたしは、自分で立つということで、寄りかからずといいたい。
自分でやる、やれることは自分でする。当たり前のことだが、なかなかできない。
 成人病を生活習慣病と呼び方を変えたときから、医者はこれらの病気の治療を患者任せにしようとしてきた。確かに生活習慣病は、生活習慣を変えなければよくならない、もしくは進行を止められない病気である。生活習慣病という呼び方はいいのだが。
 さて、患者の生活を変えるために、医師はどんなことをしているか。
 診察に行くたびに、「お変わりありませんか」と聞くが、生活習慣病で変わったところが出てきたら、これはかなり病気がすすんでいる。
 「わたしのいったとおりしていますか」「きちんとコントロールできていますか」と聞くならまだしも、「お変わりありませんか」では、治療はしていないと同じだ。
 医者がきちんと生活指導ができるならいいが、ほとんどの医者に生活指導はできない。実は患者の生活には興味はないのだ。
 そこで、自分でやるしかない。この覚悟が必要だ。