透析

 人工透析と一般的にいうが、正確には血液透析。失われた腎臓の代わりに透析機を使って血液を濾過する。1週間に3回、1回にかかる時間は約4時間。腎臓がダメになったら、死ぬまでこれをくり返さなければならない。
 わたしの父も、晩年腎臓が悪くなり、透析を受けていた。わたしは、父とはなれて暮らしていたので、実際に透析に通う父を見ていたわけではない。入院しているときに、透析に行く父を病室から見送ったぐらいである。
 父がどうして透析を受けなければならなくなったのか、腎臓病は何だったのか、明確ではない。いまふえている腎臓病は糖尿病が原因のことが多いが、慢性腎炎の原因はまだ完全に特定されていない。特定されていれば、治療法もあるわけだが。
 透析だけを受けていればいいのではなく、それ相応の食事療法などをしなければいけないのだが、高齢もあって特別なことはしなかった。食べたいだけ食べなさいという感じ。実際には、あまり食べなくなってきていた。
 透析は、血液を人工の臓器を通すことである。心臓手術のときにも、心臓や肺を一時的に停止して、人工心肺という人工臓器を使う。このときに、問題となるひとつが血栓である。人工臓器に血液を通すと、血栓ができやすくなるのである。
 父は血栓によって両足の血管が詰まり、これが原因の敗血症で亡くなった。87歳だった。
 父ほど長生きはできないだろうが、透析を受ける時期を延ばしたいと思っている。