もしもし噛めよ噛めさんよ

 と童謡「浦島太郎」の替え歌を歌うようなつもりで噛んでいると、30回は噛めるそうだ。
 噛む、時間をかけて食事をすること、これがいまのわたしの最大の課題である。なんといっても早食い。昼はひとりで食べることが多いが、5分とかかっていないだろう。おもに麺類を食べるが、つくるほうが時間がかかっているはず。まあ、麺類はゆっくり食べることがむずかしいが。
 麺類以外でも食べるのが早い。東京で編集長をしていたころは、周囲の連中はみな早食いだった。それこそあっという間に食べものがなくなっていく。さっと食べて、さっと仕事に帰る、これが基本だったのである。飲むときも、そのくせが抜けず、がばっと飲んですぐに酔っぱらう。
 お酒が好きな人は、つまみをゆっくり食べ、酒もゆっくりと味わいながら飲む。そして、酔っている時間をたっぷり楽しもうとする。わたしは、酒に強くないのか、ずっと酔っていることができない。気分が悪くなってくる。そこで、気分が悪くならない程度に酔いたい。そのために、最初からとばして、あとは飲まないというようにしている。
 ゆっくり食べることを目指そう。で、どうするか。
 食べながら、新聞を読む、本を読む、というのはどうだろう。かえって消化にはよくないか。
 まあ、ゆっくり、ゆっくりと。