先生と呼ばれる人たち

 学校の先生、代議士の先生、そして医師という先生。
 何かを教えてくれる人、他人のために働く人、普通の人にはできないことをする人…こんな人たちを先生と呼ぶ。
 さて、医師である。子どものころから勉強ができて、クラスで、いや学年で1番か2番という成績。学校での勉強など、そっちのけで塾に通い、家庭教師に教わり、医学部に入った。私立大学なら、数千万かかる授業を払えるくらいだから、子どものころからほしいものはすべてに手にはいる。
 そんな環境に育ち、無事に国家試験を通れば、医師となって病院にやってくる。その時点ですでに、「先生」と呼ばれてしまう。医者同士の間でも先生と呼び合う。病院では、看護師、栄養士、理学療法士臨床検査技師、レントゲン技師など、さまざまな医療スタッフが働いているが、その中でいちばんえらい人(?)になる。もちろん、医療スタッフからも先生と呼ばれる。
 子どものころから勉強ができて1番で、学校でもちやほやされてきた人たちが、自覚のないうちに先生と呼ばれてしまう。
 こういう人たちが、患者のことを理解できるだろうか。わからない、という状態を理解できるだろうかと思っていた。
 ある医師は、患者から学ぶといった。また、ある医師は患者になってわかったことがあるといった。
 自らを省みて、変わろうとする医師もけっこういる。こうした医師がふえてくることをわたしたち患者は望みたい。
 医師について、ちょっと極端ないい方をしたが、さまざまな苦境の中でがんばっている医師もたくさんいるし、志を持っている医師ももちろんいる。
 こうした医師を応援することも重要である。医師と患者の相互の関係がよくなることが大切だ。