医療コミュニケーション

 医者と患者の間のコミュニケーション、これを医療コミュニケーションという。医療コミュニケーションが医学部で正式に講座となったのは、2001年九州大学大学院である。現在、東京大学でも同様の講座が組まれているが、これが日本の医学部、医科大学で2番目。今年の4月の話である。
 九州大学大学院の医療コミュニケーション学は、その目的として、
「医療の現場には、医療者と患者、医療者と患者の家族、患者同士、医療者同士、マスメディアとの関係など網の目のようなコミュニケーションが成り立っている。

 患者を取り巻くこのような環境の中で、患者を軸にしてよりよいコミュニケーションはどうしたら実現できるか、コミュニケーションの破綻に繋がる問題は何か、その解決は可能か、医療者と患者や家族とのコミュニケーションを有効にするには何が必要なのか、コミュニケーションが健康の維持・増進やQOL(生活の質)の向上にどう貢献できるかなど、医療事故や臓器移植、ストレスの増大と高齢化など今日の様々な医療の課題についてコミュニケーションの機能と可能性について学んでいく」
 とある。
 2001年といえば、6年前のこと。すべての大学医学部で医療コミュニケーション学が講座になったとは聞かない。医者は、患者とのコミュニケーションはどのようにとればいいのかをまだまだ学んでいない。
 2001年以前に卒業した医師は、実際の臨床の現場しか学ぶことができなかった。学んだ医師もたくさんいるだろうが、コミュニケーションを学ぶことができなかった人もいるだろう。
 親しい私学の医学部の教授は、医師にむいていないと思われる学生がいますが、すでにたくさんのお金を払っていますから、むいていませんとはいえないといっていた。
 医師のほうが、コミュニケーションをとるのが得手でないとしたら、患者のほうからとるしかない。これは、少し積極的に行う必要がありそうだ。