うつについて2

 以前、産業医もしている精神科の医師にインタビューしたことがある。話の中で印象に残ったのは、うつ病の人を治療に専念させ、職場に復帰させないと、企業としてはたいへんマイナスです、という言葉だった。
 ふつう病気になっても治れば、必ず職場復帰はできる。うつ病の場合、人それぞれだが、心を休ませるのに少なくとも3ヵ月は必要だといわれている。3か月は長いと感じる経営者が多いのではないだろうか。
 うつ病になる人は、几帳面できまじめ、何ごともきちんとしなければ気がすまない、人の評価を正面から受けとめ、細かな気配りも忘れない。おだやかで誠実、凝り性で、人一倍まわりの人に気を使う。
 すばらしい人たちである。職場には少なくとも一人はいてほしい人材だ。
 だから、なおさら、彼らを職場復帰させたい。
 うつ病はふえている。日本人の自殺者は先進国で2位の数である。背景にうつ病にあることは確かである。
 だから、治ったら、確実に職場復帰ができることが大切だ。
 そう思えれば、治療にも専念できる。
 うつ病になるような人は職場にはぜひ必要な人たちであることを忘れないで。