うつについて3

 年間の自殺者が3万人を超える。日本はロシアに次いで自殺が多い。自殺者に関する確かなデータがないので、はっきりとはいえないが、専門家は自殺者の7割から8割はうつ病だったのではないかという。
 自ら命を絶つことがまわりの人をどのくらい悲しませるのか、わからないのだろうかと思うだろうが、うつ病では、そうした考えが起きないほど、自分だけの思いこみにとらわれ、まさに八方ふさがりの状態になっている。
 うつ病かなと思ったら、迷わず医師にかかりたい。周囲の人も医師にかかることを勧めてほしい。
 自殺を防ぐ手だてとしては、いつもつらさや苦しみを分かち合う誰かがいること。ひとりきりにさせない。うつ病の患者さんは朝がいちばんつらい。自殺の危険がもっとも高まるのは、やや回復しかけた、不安定なとき。そんな朝に注意。周囲の人は、自殺のきざしを見逃さない。関心がなくなったり、自分の殻に閉じこもるようになったり、突然お酒をたくさん飲んだり、いつも違うことがあれば、目をはなさない。
 うつ病は回復する病気だが、治るのもを待つことも大切。待つことを知る。これも肝心。
 うつ病で死んではいけない。うつ病は治るのだから。