葬式は無用のことといった人

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 草柳大蔵さんとは健康雑誌の座談会で長い間差配をお願いし、毎月のようにお目にかかっていた。厳しい人で、対談のゲラの校正をお願いするときに、必ず一文を寄せろといわれ、苦労して書いていた。わたしが、その編集部を辞めるときにご自宅に呼ばれ、対談ゲラに寄せる一文がずいぶんとうまくなったと誉められた記憶がある。
 彼が亡くなったときに、生きている人を死んだ人のために時間を割いてはいけないと遺言し、親族だけで葬儀を済ませたそうだ。
 話は少し違うが、死にゆく人に使われる医療費が馬鹿にならないと聞く。再び社会に復帰したり、家族の支えになったりする場合は別だが、1週間後に亡くなる、二日後に亡くなる、とわかっているのに治療を施す。医師は、それをしなければならない。が、患者自身は、それを拒否できる。
 生きている人にお金を使ってください、といいたい。