高齢者の医療3
むし歯・歯周病 もう歯で悩まない (ホーム・メディカ・ビジュアルブック)
- 作者: 花田信弘/井田亮/野邑浩美
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/06/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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こんな例がある。「足が痛い」と息子さんに連れられてきたお年寄り。93歳のおばあちゃん。足の動脈がつまり、壊死しかけていた。この症状はわたしの父と同じである。
病院では、足の切断を勧められたが、おばあちゃんは家に帰りたいとやんわりと拒否した。「入院しないと死んじゃうぞ」と息子さんにいわれたが、「それなら、なおさらありがたい」といったそうだ。
結局家に帰ってしまった。壊死は徐々に進み、最後は高熱が続いたが、痛みをとる処置だけを医師は行い、おばあちゃんは静かに息を引き取った。
治療を望めない終末期の患者を診るとき、家族に「治療を望まれますか」と医師は聞くという。そこでは、医師と住民の意思がしっかりとつながっているからできるのだが。
医療が中心ではなく、患者が中心なのだ。こういう死に方もある。
最後の人生をどのように送るか。最後をどのように迎えるか。覚悟をする必要がある。