突然の死について

 いままで元気だった人が突然亡くなる。
 昨日、友人のお父さんのお葬式に行ってきた。胸部大動脈瘤が見つかり、手術をすることになった。大動脈瘤ができた血管を人工的なものに取り替える手術が一般的だ。人工心肺を使って心臓を止めて手術を行う。動脈瘤ができた血管を切除し、人工的な血管と取り替える手術は、胸部大動脈瘤の手術では、よく行われる手術である。
 本人は手術室まで歩いていき、看護師に「息子さんが手を振っていますよ」といわれて振り返り、「がんばってね」に答えて「おう」といったのが最後の言葉だった。
 血管の動脈硬化が予想以上すすんでいたのか。あちこちの血管から出血が起こり、手当の甲斐なく亡くなってしまった。
 本人も家族も、元気だっただけに、この手術で亡くなるとは誰も思っていなかった。
 葬儀の挨拶で、いちばんびっくりしているのは本人かもしれませんといっていたが、本当にそうだろう。
 別れの言葉もなく、別れの予感すらなく、ずいぶんとつらいだろう。
 喪失感だけが残る。何ともやりきれない。
 突然やってくる死。覚悟も何もない。
 このような死もある。