動物の寿命は遺伝子によってほぼ決まっている

 毎朝、新聞を取りに行きがてら、40分のウォーキングをしている。
 唐松、赤松の木立のなかで、桜の葉が紅葉し始めているのを目にする。秋がそろそろ本番だなと思う。早々と散った枯葉が落ちてきている。クヌギの枯葉か。
 枯葉はすでに死んでいる。では、同じように道ばたにある小石は死んでいるのか。
 生きているとはどういう状態をいうのか。
 死ぬとはどういうことなのか。
 そんなことを考えた。
 動物の寿命は、ゲノムによって支配されている。遺伝子が寿命を決定しているといえる。しかし、ヒトではゲノムによって決められている寿命は25%に過ぎないという。75%は、その人の置かれている環境、もしくはつくり出している環境に支配されているのである。
 ここが、ヒトが動物のなかでも異なる点である。
 桜の木から離れ、路上に舞い落ちた枯葉は寿命が尽きている。桜の葉の遺伝子というのはよく知らないが、酵母菌に約5000個も遺伝子があるのだから、桜の葉にも数千の遺伝子があるに違いない。桜の葉には、どんな「死」の遺伝子があって枯葉になり、親ともいえる木から離れていく仕組みになっているのか。
 ヒトに限らず、生き物の寿命を延ばしている遺伝子の数は少ない。長寿遺伝子といわれるものは、ヒトでおそらく30個ぐらいではないかといわれている。3万5千個近くある遺伝子のなかで、わずか30個。
 そのほとんどは、表に現れることなく、この遺伝子の恩恵を受けず、ほとんどのヒトが亡くなっていく。死の遺伝子のほうがはるかに多いようだ。
 今度は死の遺伝子について知りたくなった。