細胞には寿命があるという説

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 追いつめられて松本へ。締め切りがぐんぐん近づいている次の本を書き上げるために取材に松本まで行ってきます。
 松本は、取材でもプライベートでも何回もきているが、観光地なのにがさがさしていなくて落ち着いているし、喫茶店、書店、飲み屋など、気に入りの場所がいくつもある。お金がないからいけないが、めっぽう美味しいフランス料理屋さんもある。
 信州大学の地元ということもあって、長野県らしい教養の香りも少々ただよっている。甲府とは大違い。

 さて、今回は、分子生物学が発達する前は、細胞の寿命を研究する場合も、細胞を試験管のなかで培養して観察をすることが主だった。人の細胞をとりだして培養し、それがどれだけ長生きするか(分裂するか)という実験を行い、細胞には分裂の回数があり、それが寿命だとする考えがあった。その理論によると、細胞の分裂回数は50回。50回以上は分裂しないから、これが寿命であるというわけだ。
 たいへんわかりやすく、誰も納得するものだったが、人の細胞には分裂しないものもあることがわかり、あっけなくこの理論は消滅するはずだった。
 ところが、分子生物学の発達によって、細胞の寿命説にまた脚光が浴びるようになった。それがテロメアである。テロメアは、染色体の末端にあって染色体を守っているのだが、これが加齢とともに減っていくのである。いまこのテロメアをつくり出してある物質もわかり、この研究が進んでいる。