なんでそうなるの?!

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 へえと、そんなことになっていたのかと驚く。知らなかったな、と素直に感動する。
 取材する相手はおもに医者だが、こうした「へえ」「知らなかった」と思うことが少なく、ついつい自分の知識に過信していた。
 そんなことはとっくに知っていました、知らないのはあなただけですよ、とかなり傲慢な嫌な奴になっていた。
 いま単行本を書いていて、少々行き詰まっていた。
 福岡伸一さんは、『生物と無生物のあいだ』を書いているとき、なぜ、それが生まれたのかと考えてみる。切実に考えてみる。なぜ、それが疑問なのか。どうしてそういうことになるのか。
 これを文章にしていったと述べていた。
 起き上がってきた自分の感情の動きを言葉にしていけばいいといわれ、なるほどと思った。
「へえ」と思ったことを、なぜへえと思ったのか。その「へえ」はどこからきたのか。
 そのことを切実に考える。自分のこととして、その体験を丁寧に書いていく。
 わたしは、科学者ではないから、科学の実験をしてそこに何かを発見することはできない。発見したものを見せてもらい、それに驚く。
 この驚きを伝えていけばいいのだと、思ったのである。