編集者のお仕事3

 年末から年始にかけて少し休んだために、編集者としての仕事に追われる毎日。2月に3冊の本を出さなければならず、どの本を優先的に取り組むべきかということもあるが、目の前のことをやるしかないと、まぶたの本は手こずることがわかっているので後回しにし、ほかの2冊の編集を急ぐことにした。
 原稿とイラスト(ラフといわれる段階のもの)はそろっている。各ページにタイトル、見出し、タラシというキャッチフレーズ、原稿の校正をするのだが、短い文章にさらにキャッチをつけ、読者が読みやすくする。
 本文を読まなくても、イラストとタラシ(キャッチ)で内容を伝えたい。それが、小学館ビジュアルブックシリーズのつくりである。「病気の絵本」というコンセプトで、提案しただけに私の力量が問われる。
 これでいいのか、もっと別のインパクトある表現はないか、頭をフル回転させて、タイトルやタラシを考えている。
 1日中これをやっていると、「ああ、これ以上考えてもいいアイディアが浮かんでこない」という状態になる。こうなるともうダメ。
 私の編集者として師匠は、いくつものタイトルを原稿用紙に書いて、それをじっと見つめ、考えていた。
 忘れられないタイトルがある。うつ病の記事だが、「あなたの隣りにうつがいる」というもの。
 うつ病が珍しいものではない、誰にも起こるものであることをこのタイトルは見事に表現している。
 常に考え続けると、いいタイトルが浮かんでくるといっていたが、この持続する力はたいしたもの。
 編集者の仕事には、いいタイトルを付けるという仕事もある。
 そういえば、いつもユニークなタイトルを付けると感心していた草思社が倒産した。
 いい編集者がいたに違いない。

むし歯・歯周病 もう歯で悩まない (ホーム・メディカ・ビジュアルブック)

むし歯・歯周病 もう歯で悩まない (ホーム・メディカ・ビジュアルブック)

これらが「病気の絵本」というシリーズです。