川瀬巴水、かわせはすいと読む

 川瀬巴水は、大正から昭和にかけて日本全国を旅し、各地の風景を版画におさめている。愛好家の間では、「昭和の広重」とも呼ばれている。日本ではあまり知られていないが、海外では人気が高く、版画も高い値段で売り買いされていると聞く。
 彼の版画のなかでもっとも有名なのが、「芝増上寺」。朱塗りの門に雪が深々と降りそそいでいる。門前には傘を斜めに差した女性が、雪にこうして歩こうとしている。赤い蹴出しがちらっと見え、それが朱塗りの門をまた際だたせている。雪と朱が何ともいえず、いい。
 時刻は夕刻間近か。朱に雪が白さが映え、日本情緒たっぷり。
 
 こちらも今日は雪。日曜日の夕刻から降りはじめた雪は、月曜日にやみ、火曜日は晴れて雪も少し溶けたが、そこに新たに雪が降り積もってきた。
 雪は、周囲の景色を一変させる。毎日のように歩いている山道も雪のために新しい景色に変貌した。
 雪のせいで、木々が黒々と見える。木々の黒を雪がまた目立たせている。木々の間に降りそそぐ雪は見ていてあきない。見ている分にはいいのだが、雪がなかなか溶けないので、これからがたいへんだ。
 さあ、仕事をするか。