信州大へ行きながら

 昨日、まぶたの手術をしたあとの抜糸と診察をかねて、信州大へ行ってきた。
 少し早めに家を出て、診察の予約時間まで松本市内をぶらぶらする。お昼は、アガレヤという焼鳥屋さんでランチを食べる。ここのランチは親子丼1種類しかないが、鶏肉を炭火で焼いて親子丼にするというもの。鶏肉を煮ないので香ばしく、それが卵と絡まって、美味しい。みそ汁、サラダ、香の物が付いて850円は安い。メニューを見ていると、焼き鳥もうまそうだ。お酒の種類も豊富で、わざわざ更埴市の酒屋から取り寄せているという。こんな店が近くにあったら、通っていることだろう。
 東京にいたときも、焼き鳥は好きでよく食べに行った。浜田山にファンキーチキンという焼鳥屋さんがあって、そこでそり、ツルという首の皮、ボンボチなどをよく食べた。そこの親子丼も、ご主人が阿佐ヶ谷にあった有名な焼鳥屋さんで修行しただけに、美味しかった。
 お昼をすませ、万年筆の山田に行く。手作り万年筆で有名な店だが、店も小体なつくりでなかなか雰囲気もよく、主人と少し話したが、いずれは自分専用の万年筆を作ってもらいたいと思った。ここではモンブランのインクを購入。瓶に入ったインクが手に入らなかったので、ここに来ればあると思っていた。
 さらに飯茶碗を購入すべく、陶器やさんへ行く。そこには数回訪れているが、陶器ではなく、主人の蔵書をじっくり見た。中井英夫の全集や作品集、夢野久作の全集、渋澤龍彦の本、稲垣足穂の本など、わたしが持っている本も多く並んでいる。
 思わず声をかけると、地方の金持ちが金に飽かせてこうした本を買いあさるのを見て、がっかりしているという。珍しい本ということだけで、収集する人がけっこういるようだ。
 中井英夫作品集は、わたしも持っているが、作曲家の武満徹が装丁した本だという。奥さんが店にきて、主人が装丁した本ですが、これ以外には本の装丁などしたことがなく、自分のうちにもないといっておられたという。
 そんな話をして、肝心の飯茶碗を探すのを忘れていたが、これは思うようなものがなかった。
 信州大学に行くようになって、松本を頻繁に訪れるようになったが、ある種の洗練もあり、この町はたいへん気に入った。