富士見高原病院の病院祭り

 昨年もお邪魔したのだが、今年も富士見高原病院の病院祭りに行って来ました。その報告をしたいと思います。FM八ヶ岳の放送用の原稿ですので、多少文章的には雑ですが、ご承知おきください。

これが外食のカロリーです。

1患者さんの『足』になる
 今回もいろいろ展示や検査があって、たいへん面白かった。外食の見本がずらりと並んでいて、カロリーの表示があり、調理法によってカロリーの異なることなどがわかりやすく、展示されていました。やはり実物が並んでいるとよくわかります。
 検査は病院ですから、お手の物です。体重、身長、BMI、脂肪率、腹囲、血圧など。これらをチェックしてもらい、さらに抽選ですが、CTをとってくれるというのですから、いかにも病院らしい展示です。
腸年齢を測ってもらいました。わたしは実年齢より5歳プラス。このコーナーは、富士見高原病院内視鏡室が提供していました。
 ほかにはコレステロールに関する展示があったり、自分でできるストレッチ体操のやり方、筋力強化のやり方を教えてくれたり、本当に盛りだくさん。
 お医者さんによる講演会もあって、小児科の先生による子どもの病気の解説、内科の先生によるメタボリックシンドロームの解説、さらに、メタボリックシンドロームを防ぐ食事法、運動法なども教えていただき、たいへん参考になりました。
 また、井上院長の話は、前回もなかなか興味深かったのですが、今回は富士見高原病院がいかにして現在に至ったかをわかりやすく話しておられました。
井上院長のお話の中で、わたしがとくに印象に残ったのは、「患者さんの『足』になろう」という言葉です。
むずかしい病気になった患者さんは、残念ながら富士見高原病院では診ることができない。そこで、大学病院や大きな病院に行ってもらうのですが、できるだけ患者さんについて行く。検査を受けた場合、その結果を知るために、患者は検査を受けた病院にもう一度行かなくてはならないのですが、医師が代わりにいって話を聞いてきて、それをわかりやすく患者さんに伝える。こうした患者さんの『足』になるというのは、患者にとってうれしいですね。検査の結果を知るために、具合の悪い体でもう一度行くのはしんどい話です。
 患者さんの病状を診断し、自分たちで処置ができないと判断したら、その処置のできる病院を紹介するのは当然のことですが、できるだけ患者さんの『足』になるために、大学病院でもどこへでもいっしょに行ってくれるのはうれしいですね。
 こうした医師の活動が、富士見高原病院を支えているのです。
 また、富士見高原病院は、救急の依頼を断ったことがないそうです。そして、富士見高原病院で診ることができない患者さんの場合、診てくれる病院まで医師が救急車に同乗していくそうです。医師が同乗することで、治療を搬送中にも行うことができます。急変にも対応できます。
 救急救命士という資格があって、この資格を持った人が乗っていれば、救急措置はある程度できるのですが、医師が乗っていればもっと安心です。
 当然、当直のお医者さんがいなくなるのですが、交代の医師が必ずきて、病院の治療を受け持つのだそうです。これはなかなかできないことです。患者さんを大切にしている証拠です。
 ちなみに、救急で搬送されてくる患者さんの4分の1は、私ども山梨県からだそうです。
 県境にある病院としてできることを探っていきたいとおっしゃっていました。わたしたち山梨側でも協力できることをあるはずです。提案していきたいですね。

2診療科もこうしてふえてきた
 現在、富士見高原病院の診療科は18あります。これも患者さんの必要に応じてふやしてきたといいます。
かつて眼科がないときは、富士見の人たちは、山梨県韮崎の眼科や諏訪日赤病院まで行ったようですが、眼科ができたために、患者さんの負担が少なくなりました。
 井上院長は、「患者さんの負担をなくすことが第一」だといいます。
 富士見高原病院には、いまのところ、脳神経外科や心臓外科はありません。脳卒中や心臓病の患者さんは、治療のできる病院に送っていますが、こういう場合でも、できるだけ患者を支援しよう、いっしょに行こうとしているようです。
 誰もがかかる可能性のある生活習慣病や子どもの病気に対しては、いまいる先生方でできるだけのことをしようとしています。
 生活習慣病は、生活を変える必要があります。そのために、患者さんの生活をよく知っていなければなりません。それこそ近く病院で治療を受ける必要があります。
 また、治療に長い期間がかかりますから、近くに病院があればいいですね。
ぜん息や脳卒中の後遺症などで、病院に長い間入院している人たちがいます。いま国は、こうした社会的入院をなくそうとしています。社会的入院が認められなくなってきています。3ヵ月以上入院するのがむずかしくなってきています。
 いままで、社会的入院をしてきた人たちが、すべて家に帰って、家で診られるわけではありません。そこで、こうした患者さんを引き受ける老健施設をつくり、また、自宅で患者さんを診ている家族を応援するために訪問診療も制度してできる前からやってきました。
 病院関係者はもちろん、若い人が安心して働けるように、保育園をつくった。富士見町で若い人がいちばんたくさん働いているのは、富士見高原病院ではないでしょうか。
最近は、医療から福祉の時代に合わせ、認知症のお年寄りの面倒を見ることができるグループホームをはじめました。
 現在、介護保険の対象にならない、18歳から40歳までの障害者の施設をつくりたいそうです。健常者と障害者がいっしょになって生きられる富士見町をつくりたいとおっしゃっておられます。
医療はすぐに変化があるものではなく、継続して努力していく必要がある。
 ところで、地方の病院に医師がいなくなった原因のひとつに、研修医が都会の病院に集まってしまったからだそうです。地方に魅力的な病院がないということでしょうか。
 ところが、この富士見高原病院には研修医がくるそうです。研修医を集めるために、研修医が自由に研修する病院を選べる制度ができると聞き、この制度に早く対応してきた結果、研修医がくるようになったようです。
 これは以前も富士見高原病院を取り上げたときに紹介したのですが、3次元CTというものがあります。これはまさに3次元、立体映像で臓器にある病変の確認ができます。2次元、平面ではなかなかとらえにくい病変の位置がよくわかります。
 放射線科の先生で、カテーテルといった細い管を血管から入れて治療する方法があるのですが、この治療が専門家だそうです。
 こうした新しい技術を学べるということもあって、研修医がくるのでしょうが、やはりなんといっても病院側の受け入れ体制がしっかりしているからではないでしょうか。
 研修医を受け入れるのはたいへんなことです。技術を習得させるだけではなく、人として育てることが大切です。
 魅力的な先生がたくさんいるんだなと思いました。
 富士見高原病院は、残念ながら北杜市の病院ではありません。でも、それこそとなりの町ですから、わたしたちも大事にしていきたいと思います。
 銚子市立病院が閉鎖されると報道を見聞きされた方も多いと思います。地域の住民にとってもたいへんなことです。閉鎖しないでくれ、という署名が4万名も集まったそうですが、財政上の問題ということで閉鎖になりました。
 銚子市立病院が廃止された結果、周辺の病院に患者さんが殺到し、たいへんなことになっているそうです。
こうしたことは銚子市だけの問題ではありません。わが北杜市も同じです。とくに市立病院がふたつもあるのですから、問題になることは間違いありません。
 住民の方々がもっと医療に関心を持ってもらいたいですね。富士見高原病院に頼るばかりではなく、わたしたちができることをしていかないといけません。
 医療は、財産です。わたしたちの生活を守るうえで大切な財産です。それをどんどん使ってしまえば、なくなってしまいます。
 医療という財産を守るために、わたしたちにできることは何か、考えていきたいですね。これは、緊急の問題です。市立病院が立ち行かなくなってから、行動をしたのでは遅いのです。
 病院祭りに行って、こんな感想を持ちました。