救急患者をことわりません

 どのような急患でも受け入れることを表明している病院がある。病院の開設者が決めたことらしいが、開院以来25年間、急患をことわることなく、受け入れ続けてきた。
 千葉県柏市にある名戸ヶ谷病院である。247床の民間の総合病院だ。取り上げたのは朝日新聞の夕刊だが、その後報道ステーション、同じくテレビ朝日系の夕方のニュース番組などでも紹介された。
 関連したブログを読むと、納得のいく治療ではなかったという患者の意見や、産婦人科がないのに妊婦を受け入れ、処置ができないと判断したら、産婦人科のある病院を紹介することに関して疑問をはさむ医師など、様々な意見がある。
 しかし、年間に5000台の救急車がこの病院を目指してやってくる。入院が必要と思われる二次救急をになっているのだ。確実に受け入れてくれる病院があるだけで、近隣の住民は安心だろう。少なくとも救急車が「たらいまわし」になることがない。
 患者を安心させること、これが医療のひとつの目的だと思う。
 わたしが注目するのは、朝日新聞にあった名戸ヶ谷病院の副院長のコメントである。「専門医志向が強まったことや訴訟リスクもあり、患者を診ずに電話口でことわる病院がふえている。まず、医師が患者を診ること。当たり前の役割を果たせば、日本の医療はちゃんと黒字経営ができる」と述べている。
 患者を診ること、これで医療が成り立つといっている。
 医療の基本がここにあると思う。