ラーゴムとオムソーリ

 ともにスウェーデンの言葉である。「ラーゴム」はほどほど、「オムソーリ」は悲しみを分かち合うという意味だ。

 ほどほどに生活ができる、ほどほどに楽しむことができる、ほどほどに生きていける。ほどほどに……。 
 悲しみをできるだけ少なくする、もし悲しみがあればみなで分かち合う。

 スウェーデン社会保障の根本に、このラーゴムとオムソーリという考え方がある。
 
 スウェーデンでは、税金が高いというが、国民の貯蓄率は低く、老後を心配してお金を貯め込んでおく必要がない。
 お金は必要に応じてまわっているといってもいい。

 いま地球上をまわっているお金は300兆ドル。全世界の国民総生産は30兆ドル。商品の輸入と輸出の決済に必要なドルは8兆ドル(内橋克人さんの話)。8兆ドルあればいいのに、300兆ドルものお金が世界を駆けめぐっている。そのお金がお金を求めて失敗し、起きたのが、いまの金融恐慌ではないだろうか。
 必要、十分なお金で。ほどほどに。

 仕事を失い、さらに住む家も失う人が続出しようとしている。
 この人たちの悲しみを分かち合う。
 
 ラーゴムとオムソーリ、こうした考え方が必要になっているのではないだろうか。