ちょっと贅沢


昨日は、わたしの誕生日。わたしの誕生日に合わせたかのように、義父が検査のために1週間入院したので、カミさんとふたりで、小淵沢和食屋さんへ行った。義父ともよくいっしょに行った店である。昨年4月より義父と暮らしはじめたので、それまでのように気軽にふたりで食事に行くこともなくなっていた。本当に久しぶりのふたりでの食事である。
 お店の人に今日が誕生日であることを告げると、写真のようなお祝いを用意してくれた。手前にデザートの3種類のシャーベットとイチゴやブルーベリーなどの果物があったのだが、それはわたしのおなかの中に入っている。
 着ているのは赤いジャケットだが、そうわたしも60歳なのである。赤いジャケットはパタゴニアのフリースで、娘が送ってくれた。パタゴニアのお店の人に相談したら、ベストはどうかといわれたようだが、それではあまりにも決まりすぎるので、ジャケットにしたとのこと。ありがとう。
 パタゴニアは、ペットボトルからフリースをつくった企業で、アウトドアウェアの色合いがとてもいい。ポロシャツも色落ちしてもその風合いがよくて、長年愛用している。
 60歳ということで、息子からもプレゼントが届いた。それは、モルトウイスキーと葉巻。アルコールの中で何が好きかと聞かれれば、モルトウイスキーである。行きつけのバーで、よく飲んだ。カミさんにいわせると、あんな薬くさいウイスキーのどこがいいのといわれるが、それがいい。若いウイスキーは、その香りも強く、なかなかいいが、時代を踏んでくると味わいがいっそう濃くなってくる。まろやかになるが、その強さは捨てていない。また、そこがいい。葉巻も、当時よくくゆらした。タバコはやめたが、たまに葉巻をくゆらしていると、何だか時間がとてもゆっくり流れるような気がする。コイーバ、ロメオ イ ジュリエッタモンテクリストなどいろいろな葉巻をくゆらした。
 若いころから、子どもっぽい顔だけに、なおさら大人に見せようと、背伸びをしてきたが、葉巻も似合う年ごろになってしまった。しかし、葉巻も東京にいたときに、年に数回バーでくゆらす程度のこと。こちらにきてからは、くゆらしたことがなかった。
 そんな贅沢を再びさせてくれた息子に感謝する。じつは、赤いジャケットで葉巻をくゆらし、ウイスキーを飲んでいるところをカミさんに写真にとってもらったのだが、自分が描いているイメージとだいぶかけ離れていたのでは、載せないことにした。自分では勝手に多少やせてかっこいいと思っているのに、実態はちょいデブの、年相応の男が映っていた。いいものを着ても、格好を付けても、やはり歳が隠せないのだ。
 さて、こんな贅沢をさせていただき、カミさんはもちろん、息子やそのお嫁さん、娘に大いに感謝している。たまには贅沢もいいモンです。
 60歳は区切りの歳。残された時間をどう過ごすか、何をするか、やらなければならないことは何かをじっくり考え、実行しようと誓った。