立ち枯れ

 家の近くに枯れた枝が落ちていた。けっこう太い枝なので、どこから落ちてきたのかと上を見上げると、木々の中で1本の木の上4分の1ぐらいがない。その木は立ち枯れているだろうか。おそらくキツツキが木の幹をつついて穴でも開けたに違いない。そこから雨水が入り、腐ってしまい、上の部分が風にでも吹かれて落ちてきたのだろう。
 しかし、立ち枯れていると思われる木はまだすくっと立っている。よく見ると、残っている幹から張りだしている枝には、つぼみもあるようだ。立ち枯れていると思いこんでいたが、どっこいしっかり生きている。
 枯れたと思っていたら、生きていた。いずれ折れてしまった幹から雨水が入り込み、腐っていくのだろう。
 いまは、まだ生きている。
 それにしてもすくっと立っているのが、妙に潔い感じがする。
 いつまで生きられるのだろうか。
 
 義父が退院してきた。腰椎の圧迫骨折があり、そのために歩くことがおぼつかなかったようだ。圧迫骨折は安静にしているほか方法がなく、入院はそれには最適だったようだ。病院で、ある程度状態がよくなったら、コルセットをし、歩行訓練をはじめた。歩くことはまだまだおぼつかないが、入院前より歩けるようになっている。
 しかし、確実に衰えは進んでいる。
 それをしっかり受けとめる。