くすくすと笑う星の夜の大広間

 倉本朝世さんの句。このブログで、倉本さんの句を紹介したら、ご本人から連絡があり、句集『なつかしい呪文』をいただいた。早く読もうと思っていたが、義父の葬儀や原稿の締め切りやで、なかなか読めなかった。
 本日、まことにじっくりと拝見。


 春風に苗字を飛ばす召使い
 くすくすと笑う星の夜の大広間
 天の川まで前髪を切りにゆく
 ふゆというときのくちびるのかたち
 絵の具箱両手は昔羽根だった
 
 
 いまは、これらの句が好き。
 
 友人たちに誘われ、花見に行って、春風に桜の花びらが飛んでいくのを見て、

 春風に苗字を飛ばす召使い
 
 という気持ちになり、このところ晴天続きで、夜になると星がよく見え、その星を見て

 くすくすと笑う星の夜の大広間

 がわかり、天の川まで、本当に前髪を切りにゆきたいと思い、本当は前髪はない。

 鏡の前で、

 ふゆというときのくちびるのかたち

 を見て、なんとなく楽しくなり、
 
 義父の残した絵の具箱を見ていたら、羽根が見え、

 絵の具箱両手は昔羽根だった

 に納得。
 いまの気持ちが見つかった。
 倉本さん、ありがとうございました。