ペースメーカーの持ち主

 心臓ペースメーカーを入れている人と話した。
 心臓ペースメーカーを入れるまでにいたった経緯、入れてからの生活振り、その後の注意など、いろいろと語ってもらった。
 いちばん興味を引かれたのは、精神的に立ち直るのがたいへんでしたといわれたことだ。
 心臓ペースメーカーを入れ、心臓を気にすることはなくなったが、自分の意志ではどうすることもできないもので、しかも機械によって活かされていることになれるまで時間がかかったという。
 わたしたちの心臓も、わたしたちの意志ではどうすることもできないが、からだの一部である。からだの一部、しかも生命を握っているものが機械であること。
 これになれるには確かに時間がかかるだろう。
 
 また、心臓ペースメーカーに誤作動を起こす携帯電話の話。
 心臓ペースメーカーを入れている人が、携帯電話メーカーに問い合わせをしたそうだ。
 携帯電話メーカーは、恐ろしく急速な携帯電話の普及を止め、携帯電話をすべて回収し、その影響を抑え込むことはできないといわれたそうだ。
 心臓ペースメーカーのメーカーのほうに対処法をこうじてもらいたいというのが本音のようだ。

 心臓ペースメーカーを入れている彼女は、電車に乗る際は目につくようなカードをぶら下げて、ペースメーカーを使っていることを人に知らせるようにしている。
 こうしたことをするたびに、自分の体の中に入っている機械の存在に気づかされ、また、大きな不安におちいるだろう。
 やはり、人との距離が短い電車などでは、携帯電話の電源を切ったほうがいいだろう。