インフルエンザ対策

 日本感染症学会が、9月15日に新型インフルエンザにかかった人が重症化しないために、持病のない人や子どもたちに対しても、早めにタミフルなどの抗インフルエンザ薬を投与すべきという提言を発表した。
 WHOは、持病のない成人に対しての投与は不要としているが、日本感染症学会は海外での死者の増加を見て、重症化を防ぐには、抗インフルエンザ薬を早期から投与したほうがいいといっている。
 これに対し、タミフルなどの抗インフルエンザ薬を早期から投与することで、薬剤耐性のウイルスを大量に発生しかねないから、やはりWHOの意向にしたがってほうがいいのではという意見もある。
 新型インフルエンザウイルスのなかに、すでにタミフルに対して薬剤耐性を持っているものが生まれている。現時点では、薬剤耐性をもっているウイルスの人から人への感染が見られないと専門家はいっているが、いずれこのウイルスがさらに変異をして、人から人へと感染していくだろう。タミフルなどの現時点での抗インフルエンザ薬が効かなくなるのは恐ろしい。
 しかし、すでに薬剤耐性を持つウイルスが生まれてきている以上、早く次の抗インフルエンザ薬をつくる必要がある。注目を集めているのが、CS−8958やTー705だ。ともに日本製。
 それにしても、おそらくウイルスがまた変異をして、こうして新たにできた抗インフルエンザ薬に対して耐性を持つものが生まれてくるだろう。
 ウイルスを完全に除去する方法が見つかっていないいま、いたちごっこはなくならない。ウイルスの制御の可能性はまだまだ低い。
 いまある命を救う、ということからすると、現時点での早期の抗インフルエンザ薬の使用を提言した日本感染症学会を支持するが、一方で新たな抗インフルエンザ薬の登場を切に望む。
 ウイルスとのいたちごっこがなくなることがいちばんだが。