神か?獣か?
昨日、昨年の暮れ、東京の根津美術館の案内で知った、「きの神」を山梨県立美術館に見に行った。
それは、山梨の由来ともなった、山梨岡神社にまつられている。かつては10年の一度、いまは7年に一度しか見ることのできない木造の「神像」である。
なんといっていいのか。
日本にも、これひとつしかない。
それが、これだ。
狛犬とも違う。一本足である。昔、神のお告げを取り次ぐ人は、片目をつぶしたり、片足になったりして、一般の人との違いを際だたせたそうだが、これはいったい何のだろう。
神なのだろうか。
江戸時代に、この木造を模したものを版木に刷り、お札にしている。雷除けとして、効果があったという。
博物館のサイトからとった写真では、なにやら怖そうだが、わたしの印象では、そんなに怖くはなかった。
「き」という文字は、もちろんパソコンにはない。
山梨岡神社は、2世紀の建立といわれている。山梨という名前は平安時代に木簡にも登場する。
この神像はいつつくられたのか。誰がつくったのか。その目的は何か。
この像を見つけた江戸時代の荻生徂徠は、『山海教』に載っている、「き」ではないかと推測し、そこから雷除けの効能を見いだしたようだ。
それにしても、これは何者。
いや面白かった。
山梨県博物館は、網野善彦さんがその設立に係わっている。
網野さんには、2度ほどお目にかかったことがある。
大好きな、隆慶一郎も網野さんの歴史観を高く評価し、いくつもの作品を残している。
その網野さんがどんな博物館をつくったのか。それも興味があり、いつか行こうと思っていた。
博物館も展示に工夫があり、たいへんよかった。
学芸員も熱心で、なぜかわたしが二度にわたり、説明を受けました。
もちろん、「き」の神のところでも。