医者に頼らない生き方7がんを防ぐ

 前回放送した内容をよりバージョンアップして放送しました。
 それはアメリカがん学会の発表がたいへん気になったからです。
 食べものを変えることでがんが防げる、こんなにすばらしいことはありません。
 しかも、それを実行し、成果を上げたわけですから、それは気になります。

 今回お届けした曲は、オスカー・ピータソン。彼が歌っています。
 「ニューヨークの秋」「捧ぐるは愛のみ」「スプリング・イズ・ヒア」

 医者に頼らない生き方7
アメリカでがん患者が少なくなっている
 前回の放送で、アメリカでがん患者が少なくなっているという話をしました。いままで医者に頼らない生き方というお話を6回にわたってしてきましたが、これはぜひとも注目してもらいたいと思います。そこで、もう一度紹介したい。
 ご存じのように、日本ではがんで亡くなる人がいちばん多く、死亡原因のトップです。最近のがん保険のコマーシャルでもふたりにひとりはがんになるといわれています。この統計の扱い方に関しては、少し疑問があるのですが、がんが死亡原因の1位であることは変わりません。
 早期に発見されれば大丈夫といわれていますが、がんが怖い病気とイメージがかなりありますし、できればがんにかかりたくないというのは本音です。
 では、どうすればがんにかからないですむか、というと、まだこれだという方法はないと話をしました。
 ところが、アメリカでがん患者が少なくなったというデータをみて、これはがんが予防できることを現しているのではないかと思ったのです。
 それは、アメリカでも日本と同じようにがんが死亡原因のトップだったことがありますが、いまは心臓病に1位を譲り、しかも、がんによる死亡者の数も減ってきたということですから、この原因はどうしても知りたくなります。
 もう一度、その辺の事情をくわしく紹介しましょう。
 2006年にアメリカがん学会が公表したレポートです。2003年にがんで亡くなった人の数が、1930年以来統計をとっているようですが、はじめてわずかですが、減少に転じたというのです。
 がんによる死亡率は、1991年以降低下していましたが、死亡者数は減っていなかったようです。死亡率は、亡くなった人がどんな病気で亡くなったのかということの割合ですから、がんによって亡くなった人が減ってくれば、減ってきます。でも、実際にはがんで亡くなった人が減ってきたわけでなかったのですね。
 ところが、このがんで亡くなる人が減少に転じた。
 2002年のがんによる死亡者数は557.271人、2003年には556.902人、369人減少しました。アメリカがん学会でも「がんによる死亡者数の減少は画期的な事件である」と述べています。これを本当にすごいことです。

2なぜアメリカでがん患者が減ったのか
 1995年から2001年ではがん患者の5年生存率は65%です。それ以前は50%でしたから、生存率が延びたために、死亡者数も減ったといえます。これは、手術の方法がよくなった、いい抗がん剤が登場したなど、治療法が進んだことが原因と思われます。早期発見も進みました。
 アメリカでもがんの死亡原因の1位は肺がんです。しかし、男性では発症率、死亡率も低下しています。女性の場合、発症率は横ばい、死亡率は上がっています。乳がんによる死亡率は減少、大腸がんの死亡率も減少、アメリカでは確実にがんは減ってきています。
 アメリカがん学会のレポートでは、がんによる死亡原因の3分の1はライフスタイルにあるとしています。毎日の食事や運動などです。
 とくに、がんのリスクをもっと減らすには、食事の改善が欠かせない、より科学的な根拠に基づいて、食事を変えることを進めています。
 その具体的内容を紹介しましょう。
1毎日、果物と野菜を5サービングかそれ以上とること。サービングとは、毎回の食事でとる量のことで、たとえば、ビールは1缶ぐらい1回の食事で飲んでしまいますから、ビールの1サービングは1缶(350ml)ですが、牛乳をビールと同じように飲む人はいません。そこで、牛乳の1サービングは240ml。240mlは、アメリカでの1カップの量です。1回の食事のときに、食べるときのそれぞれの食材の量がサービングです。
「5 A DAY」という運動が、1991年からはじまったと前回紹介しましたが、これがそうです。果物と野菜を1日に5サービングとりましょうということです。生野菜で1カップ、茹でたり、炒めたりした野菜なら2分1カップ、野菜ジュースだと4分の3カップが1サービング。果物でいうと、中くらいのリンゴ、バナナ、オレンジで1サービング、果物ジュース4分の3で1サービング。ちなみにアメリカの1カップは日本より大きく240mlで す。
 野菜ジュースか果物ジュースを1日に必ず1杯は飲んで、生野菜ならてのひらいっぱい、煮た野菜なら小鉢、もしくは皿盛りで、これを3つ以上。さらにリンゴなどの果物をつける。これを5サービングです。
 野菜を350g、果物を200gというより、わかりやすいですね。
2加工した穀類、砂糖に変えて、全粒穀類を選ぶこと。
 パンは、全粒粉のものということです。日本でいえば、ご飯は玄米か7分搗きですね。砂糖はできるだけ使わないこと。
3赤身の肉をとること。
 脂の多い肉、加工した肉(ハム、ソーセージ)はできるだけ控えること。
 アメリカは牛肉が多いですが、日本のように脂が多くない。それでもとるならサーロインよりひれ。焼き肉もロースやカルビよりホルモンのほうがいい。ハムやソーセージもあまりとらないほうがいいらしい。
4健康的な体重を保つように食品を選ぶこと
 適切な体重を保つことは大切です。肥満はがんと関係するといわれていますから、太りすぎはダメです。

 野菜と果物をしっかり食べれば、アメリカのようにがんによる死亡者を少なくすることができるはずです。
 そんなにむずかしいことではありません。これは日本でもぜひ実行したいものです。