医者に頼らない生き方10足腰は大丈夫

 連休中にほとんどどこへも出かけず、原稿をがんばって書いたのに、出版は9月だって。少々がっかり。
 でも、出版されるのだから、よしとしますか。

 さて、今回はロコモティブシンドロームの話です。
 紹介した曲は、ウォン・サンという韓国の女性ヴォーカリスト。この人がうまい、感心しました。
 曲は「クローズ・ユア・アイズ」「ヴィバルディ・ソング」「ラウンド・ミッドナイト」です。
 それでは。

ロコモティブシンドロームの話
1足・腰は大丈夫ですか
 ロコモティブシンドロームという病気というか症状があるのですが、ご存じですか?
 ちょっと新しい言葉ですが、要するに「足・腰」の話です。
 足・腰に手も加えますが、体を動かす機能が上手く働かないために、歩くのがおっくうになったり、実際に歩けなくなったりするような状態をいいます。ロコモティブシンドローム、略してもロコモ。
 わたしたちが動くために必要なものは、まず筋肉、骨、軟骨、関節、神経がありますが、これらが相互に関連して体が動きます。これらを総称して「運動器」といいます。
 筋肉や神経など、そのどれかひとつがうまく動かなくなるだけで、体は動かない。
 腰が痛いといいますが、その原因も骨にあるのか、軟骨にあるのか、はたまた神経なのか、いろいろあります。また、ひとつだけでなく、いくつもの運動器が関係している可能性もあります。
 じつは、ロコモティブシンドロームが話題になっているのは、足が痛い、膝が痛い、腰が痛いということから、自立した生活を送ることがむずかしくなってくるからです。体を動かすことができなくなって、寝たきりになってしまう。これが問題なのです。
 医者に頼らない生活というテーマで話してきますが、ロコモティブシンドロームになってしまうと、どうしても医者に頼らずにはいかなくなってしまいます。
 どうすればいいのでしょうか。
 足・腰を鍛えておくことが欠かせません。
 そこで、ぜひとも紹介しておきたいのが軽いスクワットです。
 テレビで紹介されていた方法です。
 足を腰の幅に開いて立ちます。つま先をかかとから30度外側に開きます。
 上体を少し前に傾けて(ここがポイント)、腰を下ろしていきます。洋式トイレで便座に座る感じです。
 膝は90度になるくらいが目標ですが、最初から無理をする必要はありません。
 これを5〜6回で1日に3回。
 お腹、背中、太もも、お尻の筋肉が鍛えられます。
 スクワットというと、手を頭の後ろで組んで、背筋を伸ばしたまま、膝を曲げる方法がありますが、これだと若い人はいいですが、年をとってくると、バランスが取れなくて後ろにひっくり返ってしまうこともあります。
 また、膝を深く曲げると、かえって筋肉を痛める可能性もあります。
 軽く軽く、を心がけてください。
 いま紹介した体操は、自力で歩くことができる人の場合です。
 少し歩くことがおぼつかない人は、机と椅子を使ってみましょう。
 腰を下ろす要領は同じ、椅子に腰を下ろします。椅子から今度は立ち上がります。このとき、机に軽く指先を突いたり、てのひらをつけば、もっと安定して、立ち上がることができます。
 椅子に座ったり、立ったり、これだけも足・腰のいい運動になります。
 椅子の背もたれを利用した体操もあります。
 背もたれに手を置いて、片足をわずか上げままにします。約1分間。左右1日に3回。
 バランスが悪くなったら、すぐに背もたれにしっかりつかまれば大丈夫。
 足は上げすぎないこと。
 こうした体操は、気が向いたらやるというのでは鍛えることになりません。1日3回、薬を飲むように、きちんと生活に組み込まなければ、意味がありません。
 1日3回、薬のように体操を「服用」してください。

2腹筋運動をしてはいけない腰痛がある
 腰痛を防ぐ体操も合わせて紹介します。
 腰痛には2種類あります。1つは体を前に倒すといっそう痛くなる腰痛。もう一つが腰を後ろにそらせると痛くなる腰痛です。
 体を前に倒すと痛くなる腰痛は、長時間座っていたり、中腰の姿勢で体を前にかがめたときに起こります。腰痛で医療機関を訪れる人の半数近くが、この体を前に倒すと痛くなる腰痛です。
 脊椎のなかで腰の部分にある腰椎、この腰椎の椎間板や、腰の骨をつないでいるじん帯、背筋に無理をしたことが原因で起こります。
 このタイプの腰痛には、腹筋運動が厳禁です。よく腰痛を予防するためには腹筋運動がいいといわれますが、この腰痛は、体を前に倒す姿勢を長い時間続けていたために起こります。腹筋運動はそれをすることになります。むしろ、腰を後ろにそらせる体操がいいのです。
 このタイプの体操を紹介します。
 1壁押し体操…かべに向かって両足を前後に大きく開いてたちます。前の膝を曲げて壁を押しながら、腰をそらせます。急に腰をそらすと、痛みの原因となりますので、壁を押したときの反動で受動的に腰をそらすのがコツ。
 2うつぶせ体操…うつぶせになり、おなかは床につけて、肘を曲げて上体をそらせる体操。背中に力を入れずに肘を伸ばして上半身を起こします。
 3ネコ伸び体操…ネコになった気持ちで伸びをします。骨盤と背骨を軽く上下させます。
 4軽いスクワット…部屋の角に両足を両側の壁につけて立ちます。壁に沿って足を広げるので両足の角度は90度になります。足の広さは肩幅ぐらい。その姿勢を保ったまま両ひざを少しずつ曲げていきます。お尻を約10センチぐらい下ろします。下ろした姿勢で10秒間。
 みんな腰を伸ばす体操ばかりです。

3腰を後ろにそらせると痛い腰痛
 もう一つの腰痛が、腰を後ろにそらせると痛い腰痛。どちらかいえば、年齢の高い人に起こる腰痛です。
 年をとってくると、腰椎をつないでいる椎間板のクッションの力が衰えるために、からだの曲げ伸ばしが簡単にできなくなってきます。体が硬くなってくるのです。
 こういう人に多いのが、腰を後ろのそらせるのがつらい腰痛です。変形性脊椎症、腰椎分離症、腰椎分離すべり症などという病名がつけられます。
 ゴルフで腰をひねったときに起こる腰痛も、このタイプが多いようですね。若いときに激しいスポーツをしていた人にも見られます。
 体を前に倒すのがいい運動になります。
 1両ひざかかえ体操…仰向けに寝て、両手で両ひざを抱えます。からだを丸くしてください。
 2片ひざかかえ体操…仰向けに寝て両手で片方ずつ膝を抱えます。ぐっと胸のほうに抱きかかえます。
 3ひれ伏し体操…正座をしてお尻を足の裏につけたまま、両腕を前に伸ばします。上半身を投げ出す感じで。
 4ネコ伸び体操…からだを丸める体操。
 5軽いスクワット
 などが効果的。
 ロコモティブシンドロームは、本当に怖い病気です。そのわりには、膝が痛いだけよ、腰の具合がちょっとよくないという程度と思っている人がほとんどです。
 いまの状態を我慢していると、あなたは寝たきりになってしまうかもありませんよ。
 体操で運動器を守っておきましょう。