医者に頼らない生き方13健康診断

 地域で暮らす会は、月はじめの木曜日に開かれます。出席者は、地元の医師や看護師、介護関係者、市会議員、医療に興味のある市民たちです。それぞれが現在置かれている状況について語り、その中から疑問、不満、さらに提案などを話し合ったり、ときには講師を呼んで勉強したりしています。
 今月は、甲府で在宅診療(往診)に取り組んでいる開業医の方が参加しました。樋口内科の樋口幸司先生です。
 樋口先生が、ご自分の話の最後に、
医師不足はなかなかなくならない。とくに、北杜市のような山間部に医師が集まり、十分な医療をすることはできないだろう。そこで、医師不足を嘆くより、市民自身が病気にならないように努力したほうがいい。病気を予防し、進行を防ぐことが医師不足を解消する方法だと思う」
 と述べていましたが、まさにその通り。
 医師不足がすぐに解決できないとすれば、患者が自衛するしかない。
 まさに医者に頼らない生き方である。

 今回は、健康診断について。
 お送りした曲は、スーザン・ボイルで「夢破れて」「クライミー・ア・リバー」「エンド・オブ・ザ・ワールド」です。いつも古い曲ばかりなので、話題の人を取り上げてみました。それでは。
 
医者に頼らない生き方13
1健康診断を受けていますか
 健康診断の季節がやってきました。4月、6月、8月。北杜市が行っている健康診断の月です。先日も、北杜市の支所から有線放送で健康診断を受けましょうというアナウンスが流れていました。
 関さん(聞き手)は受けましたか?
 健康診断の目的というと、早期に病気を発見することです。とくに何の症状もないから、受けなくてもいいやと思っている人がいるはずです。
 この何も症状がないというのが、じつは問題なのです。
 わたしの例で恐縮ですが、現在右の腎臓が委縮してほとんど機能していません。左の腎臓が頑張っているのですが、こちらもかなりガタがきているという状態です。
 片方の腎臓が動いていなくても、別段、どこかの具合が悪いわけではありません。そんなには飲みませんが、お酒も飲みます。ふつうの人同じように水分もとっています。トイレが近いということもないですね。本当にまったく自覚症状はありません。
 塩分の摂取を控えようと、これは少し努力していますが、これは完ぺきにやっているとはいえないでしょうね。
 自覚症状がないから、どこも悪いところはないと思うのは、本当に早計です。自覚症状がないからこそ、健康診断は受けたほうがいい。
 健康診断も、東京で編集の仕事をしていたときは忙しくて、受けてきませんでした。会社で少し偉くなって、人事部が人間ドックを必ず受けてくださいといわれ、受けたのですが、40代の終わりころ。
 健康雑誌の編集をしていたり、医療健康番組を作ったり、出演していましたから、人より多くの医学知識は持っていました。
 当時は、少し太り気味でしたから、肝臓に脂肪がたまっている脂肪肝、胆石で苦しんだこともあるので胆石症、ストレスが強い仕事でしたし、締めきりなど何かにいつも追いかけられるような感じですから、胃・十二指腸潰瘍もあると思っていました。事実、空腹になると胃が痛くなりました。
 こうした病気を指摘されると覚悟していました。
 ところが、自分ではまったく予想していなかった腎臓の萎縮が告げられたのです。腎臓が委縮して小さくなっています。原因はわかりませんと。
 こういわれてほんとうにびっくりしました。
 30代に生命保険に入ったのですが、そのときに尿にたんぱくが出ていますが、疲労が原因でしょうといわれ、仕事が忙しくて疲れているからな、と思っていました。編集の仕事は、締めきりが近くになれば徹夜が何日も続くこともありますし、食事も不規則。尿にたんぱくぐらい出るでしょう、という感じです。忙しいのにお酒は結構飲みます。不節制そのものです。

2健康診断を受けていれば
 右の腎臓は委縮してしまってもう働いていないようですが、なぜそうなったのかはわかりません。しかし、もう少し早く健康診断を受けていれば、左の腎臓は大分助かったのでは、と思います。
 いまでも左の腎臓がかろうじて働いているので、普通に生活ができますが、だいぶ弱ってきていると、医師から指摘されています。
 血圧を下げる薬を飲んでいますが、もう少し早い時期から飲んでいれば、腎臓の負担を抑えることができたのでは、と思っています。
 腎臓が悪くなっても、なんの自覚症状はありません。いま大変ふえてきている糖尿病にも自覚症状はありません。
 のどが渇く、おしっこがたくさん出る、といった症状がありますが、こうした症状が出てきたときには、糖尿病がかなり進んでいます。
 糖尿病は血液検査でわかります。糖尿病と診断されると、食事に注意しなければならなくなります。何を食べてもいいのですが、量を控える必要があります。食べ過ぎてはいけないし、腹八分、もしくは七分に控える必要があります。運動というより、積極的に体を動かすことを求められます。
 でも、こうしたことをしていけば、糖尿病もよくなります。上手にコントロールすれば、薬を飲まなくてもよくなります。
 糖尿病のおかげで定期的に医師に診てもらっていたから、他の病気を早期に発見できたという話も聞きます。かえって、「健康になった」というくらいです。
 わたしのようにならないために、健康診断を受けてください。健康診断は『転ばぬ先の杖』です。転んでしまって、立てなくなったらそれこそたいへんです。
 あのとき健康診断を受けていればよかったと思わないためにも。

3健康診断を活かす
 健康診断を受けるというと、2、3日前から少しお酒を飲むのを控えたり、脂っこいものを食べないようにしたり、場合によってウォーキングしたり、準備をする人がいます。
 悪い結果が出ないようにと思うのでしょうが、常日頃どういう状態にあるのか、それがどんな結果になるかが大切ですから、できるだけ毎日していることをしましょう。特別に何かをしてもいけないし、やめてしまうのもよくない。
 それに仮に異常がないといわれても安心してはいけません。いろいろな数値をじっくり見てください。基準値以下だが、スレスレのものがいくつもあるようなら、いまのままの生活をしたら必ず次回の検査では異常になります。また、異常ではなくても、コレステロール、血圧、体重、中性脂肪などの値がぎりぎりになっていると、心筋梗塞脳梗塞を起こす可能性があります。メタボリックシンドロームというのは、そういう状態をいいます。
 検査数値の変化をみることも大切です。徐々に上がってきているのは、あまりよくありません。これもいままでと同じような生活をしていれば、確実に悪くなります。生活を見直す必要があります。
 検査結果はそのときの状態を現わしている記録です。きちんととっておいて、確認することが大切です。異常がなかったから、といって検査結果を捨ててしまうようなことはしないでください。もったいないです。
 わたしも3カ月ごとに検査を受けていますが、検査結果はみなとってあります。腎臓の数値は一進一退ですが、悪くなっても前の検査結果をみると、上がってもまた下がっていることもありますので、そんなに不安にはなりません。
 これも記録としてとってあるから、確認できるのです。検査結果を捨てないように。
 検査の結果、精密検査をしてみましょうといわれることもあります。精密検査といわれただけで怖くなって受けない人もいます。
 しかし、精密検査が必要ですといわれた人で、病気にもよりますが、多くても10人にひとりだそうです(乳がんの場合)。
 安心料だと思って受けたほうがいいです。健康診断などで精密検査をいわれる場合、早期発見の場合が多いのです。
 がんだとしても早期発見なら簡単な手術で治ります。精密検査といわれたら、病気が早く見つかったと思っていいでしょう。