医者に頼らない生き方14遺伝

梅雨に入りました。毎年梅雨入りの少し前に田植えをします。友人が持っている田んぼを手伝っているのですが、ひとつは黒米を植えます。全部で6枚の田んぼを持っていますが、今年は4枚田植えをします。2枚は大豆を植えて休ませます。今年の黒米の稲の出来が悪く、同じ地区で共同ファームを経営しているところから黒米の稲を拝借しました。わたしたちは、種米を田んぼの一角に直接播いて育てるのですが、ファームではビニールハウスの中で、培地に種米を密集して播いて育てます。根が絡み合ってしっかりしているので、機械植えには最適です。
 しかし、稲を1本1本手植えようとすると、ばらすのが大変なうえに、ひょろひょろした稲で何とも頼りない。そんなわけで、黒米の田んぼは、見栄えもよくありません。
 うるち米ともち米の田んぼは、2条植えの機械を使ってやりますが、いまや4条植え、6条植えの田植え機がほとんどで、わたしたちのように田んぼの中に足を入れて植えている人はほとんどいません。最近は、田植え機を専門に扱うオペレーターといわれる人たちがいて、田植えや稲刈りを専門にするそうです。となると、農家は田んぼの水の状態を見るだけということになります。除草剤を使いますので、草取りもしません。
 わたしたちは、農薬ももちろん除草剤も一切使わない、完全無農薬のお米作りをしていますが、なんと手のかかることか。
 でも、だから育っていく稲を見るのが楽しい。うれしい。
 田植えをして1週間ぐらい経つと、最初の草取りをしますが、このときはひとりでしますのでウォークマンで音楽を聴きながらやります。今年は憂歌団を聴きながらやりました。田んぼの水面の顔を出した稲を見ながら、稲と稲の間に横に大きな歯車がついたものを回しながら、草を土に巻き込んでいきます。こうして生えてきた草の芽を摘み取っていくわけです。田んぼを渡る風を見、憂歌団の歌を聴きながらやる草取りがよかった。
 さて、今年は豊作になるかな。

医者に頼らない生き方14
 今回は、遺伝の話です。
 流した音楽はジェイミー・カラム。If I ruled the world,I think I love,But for now
 の3曲です。

1あなたの持っているもの
 遺伝といってもむずかしい病気の話ではありません。
 家族歴のようなものです。家族歴の中でも、わたしが知っておいてほしいと思うのは、ご家族はどんな病気にかかったことがあるかということです。
 まず、ご両親。わたしの例を述べましょう。わたしの父は明治生まれで、結構長生きで86歳で亡くなりました。前回の放送で、わたしの片方の腎臓が動いていないといいましたが、父も晩年は腎臓が動かなくなって、人工透析を受けていました。
 透析は、機械を使って人工的に血液をろ過することですが、血液を機械に通すので血栓ができやすい。血栓ができにくくする薬を飲まなければいけないのですが、父はこの薬を飲んでいなかったのです。
 こんなに薬を飲まなければいけないのかと電話で相談されたのですが、そのときに父が飲んでいる薬をよく調べて、飲まなければダメだよと強くいえばよかったのですが、いい加減に対応してしまったのです。本当に悔やんでいます。
 父は両足に動脈に血栓ができて、切断しなければ命の保証はないと医師にいわれました。わたしたちに負担をかけたくないということもあったと思いますが、もう自分は十分生きたから足を失っても生きたくないといって、足を切断しませんでした。その結果、入院して2ヶ月もたたずに、突然亡くなりました。血液中に細菌が入って、繁殖してしまう敗血症だと思いますが、あっという間で、子どもたちは誰も間に合いませんでした。
 腎臓の具合が悪いのは、わたしもそうです。単純に遺伝とはいえませんが、もともと腎臓があまり丈夫ではないのかもしれません。腎臓にもっと注意をしていればよかった。いまは注意していますが。これも父が亡くなって意識しはじめたのです。
 母は、網膜色素変性症という目の病気、心臓肥大、それに胆石もありました。胆石で入院したときに、血圧が急上昇し、それを抑えるために降圧剤を使ったのですが、今度は血圧が急降下し、それで母も亡くなりました。心臓もだいぶ弱くなっていたのだと思います。83歳でした。母も父も、ほとんど苦しむことなく、亡くなったのが幸いです。
 それにしても、父や母が持っていた病気をわたしも持っています。父や母が持っていた病気に注意することが必要です。
 父方の叔父に関しては、脳卒中だったと思います。母方の叔父や叔母にも、糖尿病になった人、脳卒中になった人がいました。父も母も兄弟も糖尿病になった人はいないので、糖尿病とは無縁だと信じていましたが、母方の叔母が糖尿病になったので、まったく関係がないとはいえなくなりました。
 もう叔父や叔母も亡くなってしまい、いまにして思えば、どんな病気で亡くなったのか、もう少しくわしくきちんと聞いておくべきだったと思います。

2子どもたちに伝えること
 子どもたちにも、わたしの父や母が亡くなったのはどんな病気だったのかを伝えておく必要があります。わたしたちがかかっている病気はもちろんですが、もし祖父や祖母の病気を前もって知っていれば、十分に注意ができたのに、という可能性があります。
 病気そのものが何らかの形で遺伝することもありますが、家族でいっしょに暮らしてきましたから、食習慣などがよく似ています。塩辛いものが好きだったり、甘いものが好きだったり、親子で結構嗜好が似ているものです。
 それも、大きくいえば遺伝といえます。食習慣は、自分ではわかっていないことが多いものです。結婚するとわかりますね。
 たとえば、関東出身の男性が関西の女性と結婚すれば、料理が変わりますから、味付けも薄味になるでしょう。かみさんは関西出身ですが、東京にきたときに蕎麦屋さんに入って、出てきたそばを見てびっくりしたそうです。お醤油にそばが入っていると思ったといっていました。確かに、そば、うどんもですが、京都や大阪で食べると汁の色が薄いですね。これも食習慣の違いです。
 じつは、山梨でラーメンを食べると、お汁の色が濃い。
 食習慣は、生まれた地域によってずいぶん左右されます。
 それにしても家族の味というのは、ずいぶんと影響があります。両親の嫌いなものは食卓には出てきません。当然子どもも食べませんから、まさに食わず嫌いになってしまいます。
 でも食習慣は変わります。変えることができます。わたしも昔は食べられなかったものもずいぶん食べられるようになりました。
悪い食習慣は変える必要があります。病気のほとんどは食事と関係があります。バランスの取れたいい食事をしていれば、かなりの病気は防ぐことができます。
 一度自分の食事の内容をチェックするのもいいですね。