八ヶ岳は雲に包まれている
そろそろ梅雨明けか。
梅雨の期間中に降った雨の量が、ここ山梨でも例年になく、多かったという。
昼間は少し晴れ間も見えるが、夜になるとかなりの雨が降っている。そんな梅雨だった。
山から下りて買い物をし、帰宅途中に現れた八ヶ岳はすっかり雲におおわれていた。
自宅に着くと、下の暑さはまったくなく、湿った涼しさが待っていた。
軽井沢にくらべると、湿気が少ないな、と我が家を訪れた友人がいう。
確かに日照時間が日本でもいちばん多い地域なのだが、梅雨時は変わらない。
また、家は森の中にあるので、結構湿気がある。
もうすぐ、さんさんと陽が差し、空気も乾いてくる高原の短い夏がやってくる。
八ヶ岳南麓に家を建てたのは16年前。当時、近くに家は一軒もなく、店といえるのは、駅前の煙草屋しかなかった。
いまは、ずいぶんと家も建ち、住んでいる人もふえてきた。
毎朝、新聞を取りに行く。新聞が個配されないからだ。ウォーキングを兼ねて、約40分。雨が降っても、雪が降っても、できるだけ歩いていこうと思っている。ウォーキングだから。
前は歩いている人などいなかったが、いまは何人かの人で出会う。
挨拶をかわすうちに、仲良くなった人も。がんばっているね、とドリンク剤をくれる人もいる。自宅で採れた野菜を届けてくれる人も。そして、見かけなくなった人も。
その人は、最初挨拶をしても返事がなかった。何度も会っているうちに耳が不自由なことが分かった。それから、身振り手振りで話すようになり、ずいぶん仲良くなったが、ひとりで暮らしていくのがおぼつかなくなったのかもしれない。
ただ歩いているだけだが、人とつながることができる。
これも田舎暮らしのいいところだろう。