医者に頼らない生き方18ATIS

 FM八ヶ岳の放送を2回お休みしました。
 少し早めの夏休み。
 今年の夏は、夏らしい夏で、カミさんは大喜び。汗がたらっと流れていくぐらいの夏が好きなのだそうです。
 夏らしいといっても、そこは高原ですから、木陰は涼しいし、夜になれば窓を開け放っていると少し寒いくらい。
 
 それでは、真夏の八ヶ岳より。

 医者に頼らない生き方18ATIS
1死亡原因が世界でいちばんの病気
 前回の放送で、しょっちゅう胃が痛くなる人は、ピロリ菌に感染しているかもしれないから、検査を受けましょうといいました。
 胃が痛くなる原因の多くは胃・十二指腸潰瘍です。いままで胃・十二指腸潰瘍は、ストレスが大きな要因といわれてきましたが、十二指腸潰瘍は90%、胃潰瘍は80%、ピロリ菌が関係していることがわかったのです。ピロリ菌の検査を受けて、いることがわかり、ピロリ菌を除菌すれば、わたしのように長年胃で悩んでいた人は本当に救われます。
 ぜひとも検査を受けてください。検査も息を吹き込むだけでわかりますから、簡単にできます。除菌も薬を飲むだけですから、痛くもありません。
 しかし、この検査はお医者さんに行かなければなりません。
 医者に頼らない生き方と題して話していますので、内容に偽りがあるようですが、そこは臨機応変
 さて、今回紹介したいことも、医者に行く必要があります。
 ところで、関さん(放送でわたしの聞き手になってくれている人です)、世界でいちばん死亡原因が多い病気はなんだと思いますか。
 ATISという病気です。ATISは動脈硬化が原因で発生する血栓によって血管がつまる病気のことです。
 脳の血管がつまると脳梗塞、心臓の血管がつまると心筋梗塞。そのほか足の動脈がつまることで起こるのが間欠性跛行。はこうといいますが、足を引きづって歩くことです。一定の距離を歩いたあとで足、ふくらはぎのあたりに痛みを感じて歩きにくくなりますが、休息すれば元のように歩くことができます。
 これらはすべて血栓が原因です。この血栓をつくるのが動脈硬化
 動脈硬化によって血管の内側にこぶのようなものができるのですが(専門的はプラークといいます)、それが大きくなって破裂すると、血液を固まりやすくする成分が血液の中に出てきて血液の固まり、血栓をつくります。これがあちこちでつまって病気を引き起こす。
 いままで血栓が脳でつまれば脳外科、心臓でつまれば心臓外科、足でつまれば整形外科が対処していたのですが、血栓ができるメカニズムそのものは、血栓がどの場所でつまろうとも同じですから、これらを共通して診ていこうと血栓が原因でおこる病気を総称してエイティスと呼び、診療しようというわけです。


動脈硬化はどのように起こるのか
 動脈硬化は、高血圧が主な原因といっていいでしょう。血圧が高いと血管の壁が常に強い力で押されています。強い力で押していると、少しずつ亀裂(傷といってもいいでしょう)が入っていきます。するとその亀裂にコレステロールなどの脂肪が入りこんでいきます。さらに、亀裂をふさごうと血液が固まる成分も入り込みます。手を打たないでいれば、こぶのようにだんだん大きくなっていきます。こぶがどんどん大きくなって血管をふさぐこともあります。破裂すれば、血栓ができて、それがつまることもあります。
 動脈硬化を防ぐことが大切です。そのためには、まず血圧を上がらないようにすることです。そして、脂っこいものをたくさん食べない、タバコを吸わない、糖尿病を防ぐことです。
 タバコを吸うと、血管の壁にいろいろなものが入りやすくなります。これは血管の壁の細胞が酸素不足になるために起こるのではないかといわれています。また、れんしゅくといいますが、血管がけいれんを起こしながら収縮します。れんしゅくによって血管の壁が破壊されるといいます。血管が傷つきやすくなるわけです。糖尿病によって、血液中に糖分がふえてしまいますが、この糖も血管を傷つけます。
 血圧によって血管が常に押され、タバコや糖尿病によって血管が傷つき、そこに脂分が入り込む。動脈硬化の完成です。
いくつかの要因が重なるといっそう動脈硬化になりやすい。血圧を下げ、脂っこいものを控え、タバコは吸わない。少なくともこれだけのことをしていないと動脈硬化は確実に訪れます。


動脈硬化の具合を調べる
 動脈硬化がどのくらい進んでいるかを調べる方法があります。
 首の血管に超音波を当てて血管の内側を調べる方法です。頸動脈(けいどうみゃく)エコーといいます。
 首の両脇に手を当てるとどくどくと血管が脈打っているのがわかります。ここが頸動脈です。心臓から脳に血液が送られているのです。左右の頸動脈とさらに首の後ろ側にも2本の血管が脳に走っています。4本の血管が脳に酸素や栄養を送っているのです。
 頸動脈にエコーを当てて、血管の厚さや硬さを調べていきます。0.1ミリ単位で調べることができるそうです。この検査で血管の内側の厚さが1ミリ以下なら動脈硬化がそれほど進んでいないと判定できます。
 1ミリ以上厚いと動脈硬化が進行していると診断され、血液がサラサラ流れるような薬の服用が勧められます。
 頸動脈エコーは、レントゲンとちがって放射線の心配がありません。首に超音波を当てるだけですから。くり返して何度でも検査を受けることもできます。1年2回受ければいいでしょう。
 時間にして20分ぐらいでしょうか。もちろん保険もききます。
 ATISの観点からすると、頸動脈エコーで血管の内側が1ミリ以上あるということは、体の中で動脈硬化がかなり進行していると判断されます。
 血液をサラサラにする薬を服用するとともに、血圧を下げたり、脂っこいものを控えたりする必要があります。
 動脈硬化の進行を抑えること、これが世界でいちばん多くの人が亡くなっている病気を防ぐことです。
 頸動脈エコー以外で動脈硬化の進行具合がわかるのが、両腕と両足首の血圧を測る方法です。CAVIといいます。仰向けになって、両腕、両足首に血圧を測る帯のようなものを巻きつけて測定します。時間にして5分ぐらいでしょうか。
 検査結果はすぐにわかりますからいいですね。頸動脈エコーも検査結果はすぐにわかる施設もありますが、時間がかかる場合もあります。
 CAVIは簡単でいいのですが、どこでも受けられるものではありません。頸動脈エコーも同様です。
 頸動脈エコーは、超音波診断の装置を持っているところからできる可能性がありますから、聞いてみるといいでしょう。
 動脈硬化は、静かに進行します。何か特別に自覚症状があるわけではありません。
 そこで、頸動脈エコーとかCAVIを定期的に受けて調べてもらうことが必要です。
 さきほど述べたように、血液をサラサラにする薬の服用を勧められたら、ぜひとも飲むようにしたいですね。